京アニの弓道アニメを探しているなら、答えは綾野ことこさん原作の青春作品『ツルネ』です。
京都アニメーションは映像制作だけでなく、原作の発掘と出版にも関わり、テレビ第1期、劇場版、第2期へと作品を育ててきました。
京アニの弓道アニメ『ツルネ』とは?
『ツルネ ―風舞高校弓道部―』は、高校弓道を題材に、挫折した少年が仲間とともに再び射位へ立つまでを描いた青春作品です。
まず、検索で知りたい基本情報を簡潔に整理します。
項目 内容
作品名 『ツルネ ―風舞高校弓道部―』
原作 綾野ことこさんの小説
出版 KAエスマ文庫
アニメーション制作 京都アニメーション
テレビ第1期 2018年放送、全13話
未放送話 第14話「矢場い」
劇場版 『劇場版ツルネ ―はじまりの一射―』
テレビ第2期 『ツルネ ―つながりの一射―』、全13話
新作の状況 2026年8月3日現在、第3期や新作映画の公式発表は確認できない
主人公は、風舞高校へ入学した鳴宮湊です。
湊は幼いころ、母親と訪れた弓道場で耳にした美しい「弦音」に心を奪われ、弓道を始めました。
しかし、中学校最後の試合で「早気」に陥り、自分の意思どおりに矢を放てなくなります。
風舞高校の弓道部説明会では、経験者として射を披露することになりますが、早気によって射を崩し、逃げるように学校を飛び出してしまいます。第1期公式サイトも、湊が弓引きにとって重大な問題を抱えていることを、物語の出発点として紹介しています。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
早気とは、弓を十分に引き収める「会」に入る前、あるいは本人が望んだ時機より早く矢を放してしまう状態です。
外から見れば「少し我慢すればよい」と思われるかもしれません。しかし、本人が離したくないと思っていても身体が反応してしまうため、単なる焦りとは異なります。
湊は、夜多神社にある夜多の森弓道場で、滝川雅貴の射と弦音に出会います。
その後、幼なじみの竹早静弥、初心者の山之内遼平、如月七緒、小野木海斗らと風舞高校弓道部をつくり、もう一度弓道と向き合っていきます。
作品名の「ツルネ」は、弦音を表す言葉です。
弦音は、矢を放した際に弦が弓を打つことで生まれます。同じ射手が同じ弓を使っても、身体の状態や射のまとまりによって、毎回まったく同じ音になるとは限りません。
つまりタイトルには、射手の技術や心の状態が、一瞬の音として表れるという作品の中心的な考え方が込められています。
『ツルネ』は、主人公が特別な技を身に付け、勝利だけを重ねる作品ではありません。
思いどおりに引けない悔しさ、仲間と呼吸を合わせる難しさ、他人の射と比べてしまう苦しさを、弓道の所作と結び付けて描いています。
京都アニメーションは原作発掘からどう関わったのか?
京都アニメーションは、完成した人気小説を後から映像化しただけではありません。
応募作を見いだし、自社レーベルから出版し、アニメ、映画、続編へと展開しています。この成り立ちが、『ツルネ』とほかの原作付き作品を比べる際の重要な特徴です。
主な歩みは次のとおりです。
時期 出来事
第7回京都アニメーション大賞 「夜多の森弓道場」が小説部門審査員特別賞を受賞
2016年12月26日 『ツルネ ―風舞高校弓道部―』第1巻刊行
2018年10月 テレビアニメ第1期の放送開始
2019年5月1日 未放送第14話を収録したBlu-ray・DVD第5巻発売
2022年8月19日 劇場版『はじまりの一射』公開
2023年1月4日 第2期『つながりの一射』放送開始
原作の出発点は、綾野ことこさんが「夜多の森弓道場」の題名で応募した小説です。
同作は第7回京都アニメーション大賞で、小説部門の審査員特別賞を受賞しました。京都アニメーションの受賞作一覧にも、作品名と綾野ことこさんの名前が掲載されています。京アニ+1
受賞作は『ツルネ ―風舞高校弓道部―』へ改題され、2016年12月26日にKAエスマ文庫から刊行されました。
著者は綾野ことこさん、原作第1巻のイラストは森本ちなつさんです。原作は第3巻まで刊行されており、第3巻は2022年8月19日に発売されました。京アニ
テレビアニメ第1期では、山村卓也さんが監督、横手美智子さんがシリーズ構成、門脇未来さんがキャラクターデザインを務めました。
鳴宮湊役は上村祐翔さん、竹早静弥役は市川蒼さん、山之内遼平役は鈴木崚汰さん、如月七緒役は矢野奨吾さん、小野木海斗役は石川界人さんです。滝川雅貴を浅沼晋太郎さん、藤原愁を小野賢章さんが演じています。京アニ+1
第1期のテレビ放送は全13話です。
その後、本編の結末を延長する続編ではなく、補足的な未放送エピソードとして、第14話「矢場い」がBlu-ray・DVD第5巻に収録されました。同巻は2019年5月1日に発売されています。YouTube
2022年8月19日には、『劇場版ツルネ ―はじまりの一射―』が公開されました。
上映時間は102分で、テレビ第1期の出来事を土台にしながら、湊と雅貴の関係を中心に物語を再構成しています。松竹+1
続く第2期『ツルネ ―つながりの一射―』は、2023年1月4日からTOKYO MX、ABCテレビ、BS11などで放送が始まりました。
第2期も全13話で、風舞高校、桐先高校に加え、二階堂永亮が率いる辻峰高校が物語の中心へ入ってきます。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト+1
この経緯を見ると、京都アニメーションと『ツルネ』の関係は、単なる「制作会社とアニメ作品」ではありません。
原作を見いだし、本として届け、映像と音を与えながら長期的に育てた作品と捉えると、その成り立ちが分かりやすくなります。
京アニの弓道表現はどこが丁寧なのか?
『ツルネ』の弓道表現で注目したいのは、矢が的に中る瞬間だけでなく、その前後の所作に時間を使っている点です。
弓道の一射は、一般に次の「射法八節」で組み立てられます。
- 足踏み
- 胴造り
- 弓構え
- 打起し
- 引分け
- 会
- 離れ
- 残身
それぞれは独立した動作ではありません。
足の置き方が胴造りへつながり、胴造りが崩れれば、打起しや引分けにも影響します。最後の離れだけを整えようとしても、一射全体は安定しにくいのです。
第1期第1話では、風舞高校の説明会で早気を見られた湊が、自転車を激しく走らせます。
この場面では、失敗を長い説明台詞で語らせるのではなく、速度、汗、荒い呼吸によって、湊の悔しさと逃げ出したい気持ちを示しています。
第1話の公式コメントで、湊役の上村祐翔さんは、この自転車の場面に悔しさや情けなさ、もどかしさが表れていると振り返っています。
山村卓也監督も、湊が月夜の夜多の森弓道場で雅貴と出会う場面を、幻想的で神秘的な「一目惚れ」のような場面として挙げました。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
ここには、京アニの映像表現と弓道がかみ合う理由がよく表れています。
激しく自転車をこぐ「動」の場面から、月明かりの中で雅貴の射を見つめる「静」の場面へ移ることで、一本の弦音が湊に与えた衝撃を際立たせているのです。
第1期第4話では、風舞高校の5人が初めて試合形式で弓を引きます。
同話の演出を担当した澤真平さんは、立ち上がる動作や歩く動作にも繊細な演技が必要であり、指の一本一本まで意識したと公式コメントで説明しています。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
弓を引いている人物だけでなく、本座から射位へ進む歩き方、腰を下ろす動き、矢を番える手元まで描くことで、団体戦特有の緊張感が生まれます。
これは、弓道を背景として借りるのではなく、作法そのものをドラマの一部として扱っている証拠でしょう。
一方、第2期第3話では、風舞高校が辻峰高校の独特な射のテンポに巻き込まれ、湊が「自分が当てなければ」と的だけに意識を集中させてしまいます。
続く第4話で、雅貴は湊が的前に立つことを禁じ、ゴム弓による基本動作を繰り返させます。公式の各話紹介でも、辻峰のテンポに翻弄されたことと、湊が基本へ戻された経緯が示されています。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
この流れは、弓道経験者にとって非常に現実味があります。
的中を取り戻そうとして離れや狙いばかりを直そうとすると、呼吸や胴造りなど、それ以前の部分がさらに乱れることがあります。
一度弓を置き、ゴム弓で身体の使い方を確かめるのは、後退ではありません。
むしろ、結果へ急ぐ気持ちを止め、一射の土台を組み直す稽古です。第2期は、この地味な反復を物語の中心へ置いた点に価値があります。
第2期第6話では、弓を引けない湊が、女子部員3人の一体感ある体配を観察し、団体戦に必要な「息合い」の手掛かりを得ます。
そして第12話では、幼い日に初めて弦音を聞いた記憶から、全国大会で仲間と弓を引く現在までが、射法八節の最初である足踏みを通して結ばれます。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
派手な新技を覚えて成長を示すのではなく、歩き方、呼吸、間合いといった基本の意味を捉え直すことで、登場人物の変化を描いているのです。
私は、ここに『ツルネ』独自の強さがあると考えています。
正面打起しと斜面打起しはどう描き分けられた?
第2期では、学校ごとの射の違いが、人物関係やチームの成り立ちと結び付けて描かれます。
風舞高校や桐先高校は正面打起しを用いる一方、辻峰高校は日置流印西派の斜面打起しで弓を引きます。
正面打起しでは、身体の正面で弓を上げていきます。
斜面打起しでは、弓を斜め方向に構えた状態から打ち起こすため、弓道を知らない視聴者にも画面上の違いが比較的伝わりやすくなっています。
大切なのは、作品がどちらか一方を正しく、もう一方を特殊な引き方として扱っていないことです。
辻峰高校は、十分な指導環境が整わない中で、二階堂たちが自分たちなりの練習方法と体配を築いてきました。
第2期第3話では、その辻峰独自のテンポに風舞が翻弄されます。
第9話と第10話では、風舞と辻峰が同じ場所で合宿し、対立していた両校が互いの射や体配を観察するようになります。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
射法の違いは、単なる見た目の変化ではありません。
指導者から系統的に学べる風舞と、限られた環境で自分たちの形をつくった辻峰との違いを表し、それぞれが抱える誇りや反発の背景にもなっています。
高校弓道の団体戦では、5人立の場合、先頭から一般に「大前」「二的」「中」「落前」「落」と呼びます。
「落」は最後に引く立ち順の名称であり、それ自体が精神的な重圧を意味する言葉ではありません。
ただし試合では、前の4人の的中を見た後に最後の射を行うため、勝敗が落の一本に委ねられる場合があります。
私も長年の稽古や試合観戦を通じて、落の選手が射位へ進んだ瞬間、道場の空気が変わる場面を何度も見てきました。
『ツルネ』では、湊が落を務めることを、主人公が最後に活躍するためだけの配置として描いていません。
仲間の射を受け取り、自分の一射を次の人間へ渡す役割として描いている点に、団体戦への理解が感じられます。
ただし、『ツルネ』は弓道の技術を身に付けるための教本ではありません。
弓具は扱い方を誤ると危険を伴います。実際に弓道を始める場合は、学校の顧問、地域の弓道場、経験を積んだ指導者のもとで、安全な取り扱いと基本動作から学ぶ必要があります。
劇場版では何が変わり、どんな反応があった?
『劇場版ツルネ ―はじまりの一射―』は、テレビ第1期の映像を短くまとめただけの作品ではありません。
山村卓也さんが監督に加えて構成と脚本を担当し、湊と雅貴の関係を中心に物語を再構成しています。
音声もテレビ版からそのまま流用したのではなく、全編にわたって新しく収録されました。
2022年8月19日の初日舞台挨拶では、出演者がキャラクターをゼロから捉え直し、テレビシリーズとは異なる演出を受けて収録したことが紹介されています。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
公開御礼舞台挨拶で上村祐翔さんは、県大会決勝で湊と海斗が言い合い、5人の結束が強まっていく一連の場面を挙げました。
浅沼晋太郎さんは、雅貴が落ち着いた大人に見えても、実際にはまだ20代半ばであることを踏まえ、より等身大の芝居を求められたと語っています。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト
これは、劇場版が同じ出来事をなぞるだけではなく、登場人物の年齢や関係性を捉え直した作品であることを示しています。
テレビ版を見た後に劇場版を鑑賞すると、同じ場面でも、誰の感情を中心に構成しているのか、台詞の間がどう変わったのかを比べられます。
初日舞台挨拶では、劇場版の新録や第2期の情報に対し、会場から拍手が送られました。
また、第2期放送中には第1話から第11話を劇場向けに再編集し、音響調整を施した特別上映も企画されています。弦音や射場の静けさを重要な表現として扱う作品だからこそ、劇場の音響で見たいという支持につながったと考えられます。『ツルネ -つながりの一射-』公式サイト+1
弓道経験者から見た『ツルネ』の価値と新作の見通し
ここからは、数十年にわたり弓道の稽古を続けてきた筆者としての私見です。
『ツルネ』の価値は、弓道を美しい精神修養として飾るだけでなく、思うようにならない身体や心まで描いたところにあります。
弓道は「静かな武道」「精神を整える競技」と説明されることがあります。
確かに静けさや礼節は大切です。しかし実際の稽古では、的中への執着、周囲との比較、失敗を見られる恐れ、教わっても直せない焦りが生まれます。
湊の早気は、助言を一つ聞いただけでは解決しません。
会を長く保とうと意識するほど、肩や手先に余計な力が入り、かえって早く離れてしまうこともあります。そのため、技術だけでなく、失敗した自分を受け入れ、再び射位へ立つ過程が必要になります。
第2期で湊が的前を禁じられた展開も、その意味で重要です。
調子を取り戻していた湊は、弓を多く引くことが上達につながると思い込みます。しかし雅貴は、的中ではなく、団体戦の中で崩れた呼吸と基本動作を見直させました。
私は、この場面を単なる厳しい指導とは捉えていません。
本人が直したい部分と、本当に崩れている部分が一致しないことは、弓道の稽古でよくあります。自分では離れが悪いと思っていても、原因が足踏みや胴造りにある場合もあるのです。
『ツルネ』は、基本へ戻ることを罰や後退として描きません。
弓を引けない時間にも、仲間の体配を観察し、呼吸を感じ、自分の射を考え直す余地があると示しています。この視点は、年齢を重ねて弓道を始める人にも励みになるでしょう。
また、雅貴が何でも解決できる指導者として描かれていない点も見逃せません。
教える側にも過去や迷いがあり、生徒との関係を通して考え方を変えていきます。学びを一方的な上下関係ではなく、互いに影響し合う時間として描いているのです。
今後の新作については、期待と事実を分けなければなりません。
2026年8月3日現在、京都アニメーションの作品情報で確認できる『ツルネ』の最新のシリーズ本編アニメ作品は、2023年の『ツルネ ―つながりの一射―』です。京アニ+1
第3期や新作映画について、京都アニメーションや『ツルネ』公式サイトからの制作決定発表は確認できません。
原作第3巻には高校2年生となった湊たちや新入部員、新たな学校の人物が登場するため、映像化を期待できる物語の素材はあります。京アニ
しかし、原作の続きが存在することと、アニメ企画が進んでいることは別です。
放送時期や制作内容を推測で断定せず、京都アニメーションと『ツルネ』公式サイトの発表を待つのが適切でしょう。
まとめ
京アニの代表的な弓道アニメは、綾野ことこさん原作の『ツルネ』です。
応募時の「夜多の森弓道場」が第7回京都アニメーション大賞の小説部門審査員特別賞を受賞し、2016年にKAエスマ文庫から『ツルネ ―風舞高校弓道部―』として刊行されました。
その後、2018年のテレビ第1期、補足的な未放送第14話、2022年の劇場版、2023年のテレビ第2期へと展開しています。
作品の魅力は、美しい作画だけではありません。
早気、弦音、射法八節、体配、息合い、正面打起しと斜面打起しなど、弓道の具体的な要素を、登場人物の挫折や成長に結び付けています。
特に、矢が的に中る瞬間よりも、そこへ至る呼吸、歩み、沈黙を丁寧に描く点は、『ツルネ』ならではの特徴です。
2026年8月3日現在、第3期や新作映画の公式発表は確認できません。
まずは第1期から、劇場版、第2期へと進み、同じ人物の射や弦音がどのように変化していくのかを味わうと、この作品の奥深さが伝わりやすいでしょう。
よくある質問
『ツルネ』はどの順番で見るのがおすすめですか?
基本的には、テレビ第1期『ツルネ ―風舞高校弓道部―』、劇場版『はじまりの一射』、第2期『つながりの一射』の順がおすすめです。
未放送第14話「矢場い」は補足的なエピソードなので、第1期の全13話を見終えた後に視聴すると、登場人物の関係を理解しやすくなります。
劇場版は第1期の続編ですか?
劇場版は、第1期の出来事を新しい視点から再構成した作品です。
物語の先を描く通常の続編ではありませんが、全編新規アフレコによって湊や雅貴の人物像が捉え直されているため、第2期の前に鑑賞する価値があります。
『ツルネ』の第3期は決定していますか?
2026年8月3日現在、第3期や新作映画の制作決定は公式発表されていません。
原作小説は第3巻まで刊行されていますが、アニメの新作については京都アニメーションや作品公式サイトからの正式発表を確認する必要があります。
執筆:結城宗太郎(元行政職員・生涯学習コラムニスト/弓道歴数十年)

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