弓道アニメ映画まとめ|劇場版の内容と見どころを紹介

静かな弓道場で弓を構える高校生と射を見守る指導者を描いた劇場版弓道アニメのイメージ 弓道アニメ

『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』は、TV第1期を新規カットと新たな構成で描き直した、弓道の「音」と人間関係を味わう映画です。

2022年8月19日に公開され、主人公・鳴宮湊の早気からの再出発と、滝川雅貴、竹早静弥との関係を102分の物語として描いています。

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劇場版ツルネとは?基本情報とTV第1期との違い

『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』は、綾野ことこさんの小説『ツルネ―風舞高校弓道部―』を原作とするアニメ映画です。

監督だけでなく構成・脚本も山村卓也さんが担当し、脚本監修は横手美智子さん、キャラクターデザインは門脇未来さん、音響監督は鶴岡陽太さん、音楽は横山克さんが担当しました。アニメーション制作は京都アニメーション、配給は松竹です。

項目 内容
作品名 『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』
公開日 2022年8月19日
上映時間 102分
原作 綾野ことこ『ツルネ―風舞高校弓道部―』
監督 山村卓也
構成・脚本 山村卓也
脚本監修 横手美智子
キャラクターデザイン 門脇未来
音響監督 鶴岡陽太
音楽 横山克
主題歌 ラックライフ「Hand」
アニメーション制作 京都アニメーション
配給 松竹
製作 ツルネ製作委員会

公開日は2022年8月19日、上映時間は102分です。主題歌「Hand」はラックライフが担当しました。

ここで、初めて見る方に最も知っておいていただきたい点があります。

『劇場版ツルネ』は、TVアニメ第1期の後を描くだけの続編映画ではありません。

TVシリーズ第1期の物語に新規カットを加え、映画として再構成した作品です。現在のU-NEXT作品紹介でも「新規カットの追加と再構成されたストーリー」が特徴として案内されています。

ですから、TV第1期を見た方が劇場版を見ると、「この場面は知っている」と感じるところがあります。

しかし、単に13話分を短く並べたものと考えると、本作の面白さを見落としてしまいます。

TV版では風舞高校弓道部の仲間たち、大会へ向かう過程、各人物の事情が時間をかけて描かれます。それに対して劇場版では、鳴宮湊、滝川雅貴、竹早静弥の関係をより強く意識できる構成になっています。

同じ出来事でも、どこを残し、どこをつなぎ直すかで人物の見え方は変わります。

私は、ここを「総集編だから同じ」と片づけない方がよいと思っています。

弓道にたとえるなら、同じ射法八節を繰り返しても、昨日の一本と今日の一本が同じではないのと似ています。

経験したあとにもう一度見るからこそ、最初には気づかなかった意味が見えてくるのです。

主要キャストは誰?

主要キャストはTVシリーズから引き続き担当しています。

  • 鳴宮湊:上村祐翔
  • 滝川雅貴:浅沼晋太郎
  • 竹早静弥:市川蒼
  • 山之内遼平:鈴木崚汰
  • 如月七緒:矢野奨吾
  • 小野木海斗:石川界人
  • 藤原愁:小野賢章

劇場版公式サイトでも、この7人が主要キャストとして掲載されています。

声の大きさよりも、返事までの間や声色のわずかな変化が印象に残るのが『ツルネ』です。

弓道では射の最中に長い台詞を語ることはできません。それだけに、人物の心情を説明しすぎず、声、呼吸、視線、姿勢で伝える演出がよく合っています。


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劇場版ツルネの内容は?湊・雅貴・静弥が抱える三つの痛み

物語の中心となる鳴宮湊は、かつて弓道に熱中していましたが、「早気」をきっかけに弓道から離れています。

高校へ進学しても、親友の竹早静弥から弓道部へ誘われたことで、すぐに弓へ戻れたわけではありません。そこへ現れるのが滝川雅貴です。雅貴との出会いをきっかけに、湊は傷つきながらも再び弓を手に取ります。

早気とは、射手が望んでいるよりも早い段階で離れてしまう射癖です。

弓を引き分けた後には「会」と呼ばれる段階がありますが、早気になると、十分にその状態を保とうとしても自分の意図に反して離れてしまうことがあります。

外から見ると、「もう少し待てばいい」と感じるかもしれません。

しかし、実際の稽古では頭で理解したことが、そのまま身体で実行できるとは限りません。

私も弓道を続けながら、力を抜こうと意識するほど力が入り、落ち着こうとするほど動作を急いでしまうことがあります。

弓道には、「分かる」と「できる」の間に静かな距離があります。

湊の苦しみも、単なる技術上の弱点ではありません。

好きだった弓道が怖くなる。

以前できていたことができない。

周囲から期待されるほど、自分の失敗を意識してしまう。

そうした状態から、もう一度弓を手に取れるのかが物語の出発点です。

ところが『劇場版ツルネ』は、悩める少年を完璧な指導者が救うという単純な形にはしていません。

雅貴自身もまた、過去を抱えています。

公式の物語紹介では、雅貴が湊を指導する一方、自分の師匠に対して深い復讐心を抱いていることが示されています。

ここが、この映画を単純なスポーツ成長物語にしない重要なところです。

傷ついた高校生を、何の迷いもない大人が導くのではありません。痛みを持つ者同士が、弓を通して出会います。

さらに、その二人を見つめる静弥にも別の苦しさがあります。

静弥は、湊が弓道から離れていた時期にもそばにいた親友です。

ところが湊を再び弓へ導いたのは、自分ではなく雅貴でした。公式ストーリーでも、湊と雅貴がともに歩み始める一方、静弥が「自分はもう必要のない存在なのではないか」と感じていく流れが描かれています。

私は、劇場版を見る時にはこの三人を一つの三角形として見ると分かりやすいと思います。

湊は、失った自分の射を取り戻そうとする。

雅貴は、人を教えながら自分の過去とも向き合う。

静弥は、大切な友人が前へ進むほど、自分との距離が変わっていくことに戸惑う。

誰かを大切に思っていれば、必ず関係がうまくいくわけではありません。

親しい人だからこそ期待し、心配し、ときには自分が必要とされているか確かめたくなるものです。

この人間関係の複雑さが、『劇場版ツルネ』を「弓道部の少年たちが大会を目指す映画」だけでは終わらせていません。


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劇場版ツルネ最大の見どころは?弦音と静寂を「聞く」映画

『劇場版ツルネ』で最も意識してほしいのは、矢の行方だけではなく音と、その前後にある静けさです。

作品名の「ツルネ」は「弦音」に由来します。公式サイトでも、矢が放たれた時に響く音を作品の「はじまり」と結びつけています。

弓道場へ入ると、普段なら聞き流してしまうような小さな音が耳に入ります。

足袋で床を進む音。

衣擦れ。

弓具が触れるかすかな音。

呼吸。

矢をつがえる音。

弦音。

そして矢が的へ届く音。

一見すると、弓道は「静かな競技」です。

しかし実際に稽古をしていると、静けさとは音がない状態ではないことに気づきます。

余計な音が少ないからこそ、一つの音が鮮明になるのです。

私は、この感覚を映像作品として表現しようとしたところに『劇場版ツルネ』の大きな特徴があると感じています。

その姿勢を象徴するのが、公開時の7.1ch音響上映でした。

公式は2022年7月27日、全国66劇場で7.1ch音響上映を行うことを発表しています。5.1chより2チャンネル多い構成を用い、試合会場の静かな緊張感、風、弦音、登場人物の息遣いまで立体的に表現する狙いが説明されました。

なお、対象劇場でも上映回によって5.1chになる可能性があることも、当時の公式案内には明記されていました。

この注意書きまで含めて確認しておくと、作品情報としてより正確です。

「矢が飛ぶ瞬間」より「飛ぶまで」を見せる

弓道の面白さは、的中だけでは語れません。

射手は射位に立ち、足踏み、胴造り、弓構えから、打起し、引分け、会、離れ、残身へと進みます。

矢が飛ぶ時間そのものは一瞬です。

しかし、一射を形づくっている時間の大半は、その一瞬より前にあります。

『ツルネ』の映像も、そこを丁寧に見せます。

視線。

肩や背中。

指先。

弓のしなり。

呼吸。

離れた後に残る姿勢。

京都アニメーションの公式メイキング紹介でも、湊の射を描くカットでは、手描きの人物と3D背景を組み合わせながら射の爽快さを際立たせる工夫が説明されています。また雅貴のカットでは、矢先から人物へ視点を移し、離れた手へ寄る原画構成や風の表現が紹介されています。

私は、『ツルネ』を「矢が飛ぶアニメ」と呼ぶより、「矢が飛ぶまでの時間を見せるアニメ」と考える方が特徴をつかみやすいと思っています。

的中は結果です。

けれど、射手がどのようにそこへ立ち、何を抱え、どのように一本を出したのかを見ると、同じ「中った」「外れた」でも意味が変わります。

これは弓道を知らない方にも伝わる見方ではないでしょうか。

試験の点数だけを見るのではなく、そこへ至る学び方を見る。

仕事の成果だけではなく、迷いながら積み上げた時間を見る。

結果の少し手前に目を向けると、人の姿はずいぶん違って見えます。

公開後も「音」を軸にした上映が続いた

音響へのこだわりは、2022年の公開時だけでは終わりませんでした。

公式サイトでは、2023年8月28日に立川シネマシティで『劇場版ツルネ』の「極上音響上映」と、TV第2期全13話のオールナイト極上音響上映を実施すると発表しています。

また2023年8月には、ドイツ・マンハイムで開催された「AnimagiC 2023」で劇場版が上映されました。8月4日と8月6日の2回が案内されています。

国内公開が終わった後にも、音響環境を意識した再上映や海外上映が続いた点は興味深いところです。

普通の映画であれば、公開が終わると家庭で視聴する作品へ移っていきます。

それでも『劇場版ツルネ』では、「良い音で改めて聞く」という鑑賞方法に意味がありました。

それは弦音が単なる効果音ではなく、人物の記憶や憧れ、再出発と結びついているからだと私は考えています。

一本の矢は、一瞬で的へ向かいます。

けれど、その一射を見た人、聞いた人の心には長く残ることがあります。

副題の「はじまりの一射」には、その作品構造がよく表れているように思います。


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劇場版ツルネを見る順番は?第1期→劇場版→第2期が最も丁寧

「劇場版から見ても大丈夫なのか」「TVアニメを先に見た方がよいのか」は、これから『ツルネ』を見る方が迷いやすいところです。

結論を先に言えば、作品を最も丁寧に味わうなら「TV第1期 → 劇場版 → TV第2期」がおすすめです。

一方、短い時間で物語の大枠をつかみたい場合は、「劇場版 → TV第2期」という入り方もできます。

整理すると、次のようになります。

  • 人物関係まで丁寧に知りたい:TV第1期 → 劇場版 → TV第2期
  • まず映画一本で作品に触れたい:劇場版 → TV第2期
  • すでにTV第1期を見た:劇場版を飛ばさず、再構成の違いを楽しむ

劇場版はTV第1期に新規カットを加え再構成した作品であり、第1期の後日談だけを扱う映画ではありません。

そのため、第1期未視聴でも湊が弓道を離れ、雅貴と出会って再び弓へ向かうという物語の中心線は追えます。

ただし、ここは「第1期を見なくてもまったく同じように理解できる」とまでは言わない方が正確でしょう。

102分の映画では、TVシリーズで時間をかけて描かれた風舞高校弓道部の仲間たちや、細かな人間関係をすべて同じ密度で入れることはできません。劇場版では湊、雅貴、静弥へ焦点が寄るため、遼平、七緒、海斗をはじめとする部員たちを深く知りたい方にはTV第1期からの視聴が向いています。

私は、TV版を見た方にも劇場版をおすすめします。

理由は単純です。

「同じ話をもう一度見る」のではなく、「同じ出来事を違う焦点で見る」体験ができるからです。

人間の記憶も、似たところがあります。

同じ出来事でも、時間がたってから思い返すと、以前は気づかなかった誰かの表情や言葉が残ることがあります。

劇場版の再構成には、そうした「もう一度見ることで意味が変わる」面白さがあります。

※画像はAIによるイメージ

劇場版の後は『つながりの一射』へ

劇場版公開日の2022年8月19日には、TVアニメ第2期『ツルネ -つながりの一射-』を2023年1月から放送することも発表されました。

つまりシリーズ全体で見ると、TV第1期と劇場版で湊たちの「はじまり」を異なる形から描き、その先を第2期が受け継ぐ構造になっています。

第2期では、風舞高校と桐先高校だけでなく、二階堂永亮たち辻峰高校も物語へ深く関わります。

第1期や劇場版が「もう一度弓を引くところまで」の物語だとすれば、第2期では、その先で他者とどう射を重ねるのかというテーマがさらに広がっていきます。

劇場版を第1期と第2期の間に置いて見ると、「はじまり」から「つながり」へ題名そのものが移っていくことにも気づきます。

これはシリーズを見るうえで、なかなか味わい深い変化です。

公開後の配信・Blu-ray展開

劇場版のBlu-ray・DVDは2023年1月18日に発売されました。映像特典には、2022年8月19日に行われた舞台挨拶の映像も収録されています。

U-NEXTの独占先行配信については、公式ニュースの記事日付が2023年1月19日ですが、本文に記載された実際の配信開始日時は2023年1月18日12時です。

ニュース掲載日とサービス開始日が異なるため、日付を調べる際には注意したいところです。

また、WOWOWでは2023年8月3日にテレビ初放送されました。公式による発表日は同年6月26日です。

動画配信サービスの取り扱いは、その後も変更される可能性があります。

現在視聴できるサービスを探す場合は、過去の配信情報だけで判断せず、利用する配信事業者の最新作品ページで確認するのが確実です。


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弓道経験者から見た劇場版ツルネの魅力は?「戻ること」を描いた映画

ここからは、弓道の稽古を続けてきた筆者としての私見です。

私が『劇場版ツルネ』に強く惹かれるのは、勝つことや上達することだけでなく、一度崩れた人が基本へ戻る過程を物語にしているからです。

調子を崩した時、人はつい新しい方法を探したくなります。

もっと強く引けばよいのではないか。

道具を変えれば解決するのではないか。

何か特別なコツがあるのではないか。

もちろん、工夫が必要なこともあります。

しかし弓道では、足踏みや胴造り、弓構えといった基本を改めて確認することが、遠回りに見えて最も大切な場合があります。

そして、一度経験を積んだ後に戻る基本は、初心者だった頃に習った基本とは少し違って見えます。

以前は「そうするものだから」と覚えていたことが、「なぜ必要なのか」と身体で理解できることがあります。

私は、基礎へ戻ることは必ずしも後退ではないと考えています。

むしろ、戻れる場所を持つことが、長く学ぶための強さになるのではないでしょうか。

湊の物語にも、その感覚があります。

早気だけを「直すべき欠点」と考えれば、物語はもっと単純にできます。

弱点を克服する。

試合へ出る。

勝利する。

けれど『ツルネ』が問い直すのは、もう少し手前です。

なぜ弓を引くのか。

なぜ弦音に惹かれたのか。

自分にとって弓道とは何だったのか。

そこで立ち止まるからこそ、再び弓を取ることに意味が生まれます。

雅貴も「完成された先生」ではない

もう一つ、私が大切だと思うのは滝川雅貴の描き方です。

指導者は物語の中で、何でも知っている人物として置かれがちです。

生徒が迷えば正解を教え、失敗すれば原因を見抜く。

しかし現実の学びでは、教える側も迷います。

自分が教わった方法が、目の前の人にも適しているとは限りません。

経験者には一言で伝わることが、初心者にはまったく伝わらないこともあります。

雅貴自身に師との葛藤があるため、『ツルネ』の師弟関係は一方向ではありません。

教える人もまた、過去から学び直しています。

私は、この「指導者も途中にいる」という描き方に現実味を感じます。

年齢を重ねると、先生と生徒が完全に分かれているわけではないことが分かってきます。

教える立場になってから、初めて分からないことに気づく場合もあります。

長く学んだからこそ、基本の難しさが見えてくることもあります。

『劇場版ツルネ』は、湊の再出発だけでなく、雅貴にとっても「教えるとは何か」を問い直す物語として見ることができます。

静弥がいるから友情が美談だけで終わらない

静弥の存在も重要です。

大切な友人が立ち直ることは、喜ばしいはずです。

ところが、そのきっかけを自分ではない別の人が与えた時、人の心はそれほど単純ではありません。

ずっとそばにいたのに。

自分には助けられなかった。

もう自分は必要ないのではないか。

そうした感情があっても不思議ではありません。

友情には、優しさだけでなく不安や寂しさも混ざります。

だから静弥がいることで、『ツルネ』の「仲間」という言葉には厚みが生まれます。

私は、ここに弓道の団体戦とよく似たものを感じます。

団体で同じ立に入っていても、自分の代わりに誰かが矢を放つことはできません。

前の射手が皆中しても、自分の一本が自動的に中るわけではありません。

反対に、前の人が外したからといって、自分まで外れると決まったわけでもありません。

仲間の存在を感じながら、最後には自分で立ち、自分で弓を引きます。

つながっているけれど、最後の一本は自分で射る。

この少し矛盾した距離感が、『ツルネ』の友情や師弟関係とよく響き合っています。

中高年の「学び直し」にも重なる作品

私は68歳になった今、『劇場版ツルネ』を若者だけの青春物語とは感じません。

年齢を重ねて新しいことを始めると、「以前より覚えるのが遅い」「身体が思ったように動かない」と感じることがあります。

昨日うまくいったことが、今日はできない。

少し分かったと思ったら、また分からなくなる。

そんな時、すぐ結果を求めると学ぶこと自体が苦しくなります。

弓道では一本の矢を放つまでに、多くの段階があります。

学び直しも同じです。

成果が見える瞬間より、その前の静かな時間の方が長いものです。

基本を確認する。

失敗の理由を考える。

分からなければもう一度読む。

身体に合う方法を探す。

その繰り返しを「進んでいない時間」と考える必要はありません。

劇場版の副題である「はじまりの一射」は、私には再出発の言葉にも聞こえます。

人は、以前とまったく同じ自分へ戻らなくてもよいのでしょう。

失敗したことも、離れていた時間も抱えたまま、もう一度始めればよい。

この映画が静かに伝えてくるものの一つは、そこではないかと私は考えています。


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まとめ|劇場版ツルネは「続編」ではなく第1期を新たに見つめる弓道映画

『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』は、2022年8月19日に公開された、上映時間102分の京都アニメーション制作による弓道アニメ映画です。

主人公・鳴宮湊が早気によって弓道から離れ、滝川雅貴との出会いを通して再び弓を手にする物語を中心に、雅貴が抱える師への複雑な感情、竹早静弥の揺れる思いが描かれます。

大切なのは、TV第1期の単純な続編ではないことです。

第1期の物語を新規カットとともに再構成しているため、初めて『ツルネ』を見る方には作品への入口となり、第1期を知っている方には同じ出来事を別の焦点から見直す映画になります。

そして、本作を特徴づけているのが「音」です。

公開時には全国66劇場で7.1ch音響上映が企画され、公開後にも極上音響上映が行われました。弦音、風、息遣い、静寂まで含めて物語を感じさせる作品であることが、こうした上映展開からも分かります。

見る順番で迷うなら、最も丁寧なのはTV第1期 →『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』→ TV第2期『ツルネ -つながりの一射-』です。

ただし、まず映画一本から触れてみたい方なら劇場版から始めても、大きな物語の流れを知ることはできます。

弓道では、的に中った瞬間だけが一射ではありません。

その前に立ち、構え、引き分け、会を迎え、離れ、その後に残る時間までが一本につながっています。

『劇場版ツルネ』も似ています。

結末へ急ぐより、登場人物がもう一度弓を手に取るまでの迷い、沈黙、呼吸を味わってほしい映画です。

派手な作品ではありません。

しかし、静かな作品だからこそ、人の心が動く小さな瞬間がよく見えます。

弓道経験者には自分の稽古を振り返るきっかけを、初めて弓道に触れる方には「一本の矢の前にこれほど多くの時間があるのか」という発見を与えてくれる作品だと、私は感じています。


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よくある質問

『劇場版ツルネ』はTVアニメ第1期の続編ですか?

単純な続編ではありません。

TVアニメ第1期の物語に新規カットを加えて再構成した映画です。そのため、第1期と共通する出来事が描かれています。

『劇場版ツルネ』から見ても楽しめますか?

劇場版からでも、湊が弓道へ戻っていく物語の大筋は追えます。

ただし、風舞高校弓道部の仲間や人間関係をより丁寧に理解したい場合は、TV第1期から見る方がおすすめです。

『ツルネ』を見るおすすめの順番は?

シリーズを十分に味わうなら、TV第1期 →『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』→ TV第2期『ツルネ -つながりの一射-』の順が分かりやすいでしょう。

劇場版公開日の2022年8月19日には第2期を2023年1月から放送することも発表されており、劇場版から第2期へ作品世界がつながっていきます。

結城宗太郎(元行政職員・生涯学習コラムニスト)

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