ジュニア数学オリンピックの問題とは?出題レベルと挑戦前のポイント

日本ジュニア数学オリンピックの過去問と図形を書いたノートを机に広げ、中学生が静かに問題を考えている学習風景 数学

ジュニア数学オリンピックの問題は、知識量よりも「条件から最初の一手を見つける力」を問うのが大きな特徴です。

2026年8月現在、日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)は予選3時間・12問の単答式、本選4時間・5問の記述式で実施されています。これから受験する第25回予選は2026年11月15日、本選は2027年2月11日の予定です。数学オリンピック財団+1

この記事では、ジュニア数学オリンピックの対象者や形式だけでなく、実際の2026年問題を3題取り上げながら、どこが難しいのか、過去問をどう使えばよいのかまで丁寧に見ていきます。

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  1. 2026年のジュニア数学オリンピックとは?対象・日程・問題形式を確認
    1. 小学生も応募資格を満たすことがある
    2. 出題は代数・組合せ論・幾何・数論が中心
    3. 「2026年問題」と「2026年に受ける大会」は別なので注意
  2. ジュニア数学オリンピックの問題はどんな内容?2026年過去問3題を見る
    1. 2026年予選第1問|「8と4」から相似を見つけられるか
    2. 2026年予選第4問|知らない言葉でも定義から考える
    3. 2026年本選第2問|「答え」ではなく証明を書く
  3. JJMOはどれくらい難しい?2026年の得点分布から考える
    1. 「6問しか」ではなく「6問も解く」と考える
    2. 本選は「一問48分」でも足りないことがある
    3. 中学1年生の銀賞が示すもの
  4. ジュニア数学オリンピックの過去問はどこまで公開されている?
    1. 参考書では2003~2013年、2019~2024年をまとめて学べる
    2. 過去問を探すときは大会番号まで確認する
  5. 初めてJJMOの問題に挑戦するには?「最初の一手」を記録する
    1. 「最初の一手ノート」を作る
    2. 最初から苦手分野を全部克服しようとしない
    3. 考察|JJMOの難しさは「知っているか」より「つなげられるか」にある
    4. 予選と本選の間には「説明する数学」がある
    5. AIで解答を得やすい時代ほど「解く前の記録」が価値を持つ
  6. まとめ|ジュニア数学オリンピックの問題は「最初の一手」が鍵になる
  7. よくある質問
    1. ジュニア数学オリンピックは何年生まで受けられますか?
    2. JJMOの予選と本選はどう違いますか?
    3. ジュニア数学オリンピックの過去問はどこまでありますか?

2026年のジュニア数学オリンピックとは?対象・日程・問題形式を確認

JJMOは中学生以下を対象とし、若い世代の数学的才能の発掘と育成を目的に行われている数学コンテストです。

数学オリンピック財団によると、JJMOは日本数学オリンピック(JMO)へつながる前段階の大会として位置づけられています。第1回は2003年に開催され、第7回の2009年から現在につながる予選・本選方式になりました。数学オリンピック財団+1

2026年8月19日時点で募集されているのは第25回JJMOです。主な内容を整理すると、次のようになります。数学オリンピック財団

項目 第25回JJMO
応募資格 2026年11月時点で中学3年生以下
個人申込期間 2026年7月1日~9月10日
個人の受験料 4,000円
予選 2026年11月15日 13時~16時
予選形式 オンライン・3時間・12問・単答式
本選 2027年2月11日 13時~17時
本選形式 4時間・5問・記述式
本選後 上位10名前後を表彰、上位5名を代表選考合宿へ招待予定

申込日程や実施方法は今後追加案内が出る可能性があります。受験する場合は、数学オリンピック財団の最新の募集要項を申込時にも確認しておくのが安心です。数学オリンピック財団

小学生も応募資格を満たすことがある

応募資格は「中学3年生」ではなく、2026年11月時点で中学3年生以下です。

そのため、中学1・2年生はもちろん、年齢・学年の条件を満たす小学生も応募対象になり得ます。数学オリンピック財団

実際、第24回JJMO本選の2026年受賞者を見ると、金賞は筑波大学附属駒場中学校3年の三瓶秀真さんで、銀賞には東海中学校3年の和田涼佑さん、灘中学校1年の池田達樹さんらが選ばれました。金・銀・銅賞の受賞者は合計12名です。数学オリンピック財団

中学1年生でも銀賞に入っていることからも、「中学3年まで勉強してから挑戦する大会」と考える必要はありません。

ただし、早く受ければ簡単という意味ではありません。学校の学年進度とは別に、問題を読み解き、自分で方針を作る経験が大きく影響する大会だと考えたほうがよいでしょう。

出題は代数・組合せ論・幾何・数論が中心

第25回募集要項では、前提となる知識は世界各国の中学校程度とされ、「数の問題」「図形の問題」「ゲーム」「組み合わせ的問題」などが題材になると案内されています。学校で通常学ぶ内容とは多少異なる問題も含まれます。数学オリンピック財団

さらにJJMOの概要ページでは、主な分野が次の4つに整理されています。数学オリンピック財団

  • 代数:数列、恒等式、方程式、不等式
  • 組合せ論:数え上げ、場合の数、確率、グラフ理論
  • 幾何:合同と相似、三角形、円、空間図形
  • 数論:約数・倍数、素数、不定方程式、合同式

名前だけを見ると、学校数学で見覚えのあるものも少なくありません。

けれどもJJMOでは、「この問題は相似を使います」「ここでは約数を使います」と入口を示してくれません。どの知識を使えば、ばらばらに見える条件が一つにつながるのかを自分で判断するところから問題が始まるのです。

私は、この「入口が書かれていないこと」が、初めてジュニア数学オリンピックの問題を見た方が感じる難しさの正体にかなり近いと考えています。

「2026年問題」と「2026年に受ける大会」は別なので注意

ここは2026年にJJMOを調べる際、特に間違えやすい点です。

公式の過去問一覧に掲載されている第24回(2026年)JJMO予選は、実際には2025年11月16日に実施され、本選が2026年2月11日に行われました。第24回から予選時期が11月第3日曜日へ見直されたため、予選と本選が年をまたぐ形になっています。数学オリンピック財団+1

一方、2026年夏に申し込む大会は第25回JJMOです。

第25回は予選が2026年11月15日、本選が2027年2月11日なので、「2026年の過去問」と「2026年11月に受験する問題」は同じ大会を指していません。数学オリンピック財団

過去問を探すなら「第24回・2026年」、これから受験する情報を調べるなら「第25回・2026年度募集」と区別すると、かなり分かりやすくなります。


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ジュニア数学オリンピックの問題はどんな内容?2026年過去問3題を見る

JJMOの特徴を知るには、一般的な「競技数学とは何か」という説明より、実際の問題を見るのが早道です。

第24回予選は2025年11月16日に行われ、3時間で12題、各問1点、解答欄には答えだけを記入する形式でした。数学オリンピック財団

ここでは著作権に配慮して問題文を丸ごと転載せず、条件と着眼点を自分の言葉で整理して紹介します。

2026年予選第1問|「8と4」から相似を見つけられるか

第1問は、三角形ABCの中に長方形DFGEが配置された図形問題です。

条件としてBC=8、FG=4が与えられ、さらに線分DEとAF、AGとの交点をP、Qとしたとき、三角形DFPとEGQの面積がそれぞれ1、2となります。求めるのは三角形ABCの面積で、公式の解答用紙に示された答えは24です。数学オリンピック財団+1

この問題は、図を見た瞬間には未知の長さが多く、「これだけで面積が決まるのだろうか」と感じます。

ところが長方形なのでDE=FG=4です。また図の配置からDEとBCは平行であり、BC=8です。

すると三角形ADEとABCは相似になり、辺の比は

DE:BC=4:8=1:2

です。

したがって、AからDEまでの高さは、AからBCまでの高さの半分になります。言い換えると、長方形の高さDFも三角形ABC全体の高さの半分です。

ここから先は、公式の解説を転載したものではなく、筆者が図の関係から整理した一つの考え方です。

AからF、Gへ引いた線は、高さが半分の位置にあるDEと交わっています。そのため、PとQの間の長さPQはFGの半分となり、

PQ=2

です。

一方、DE=4なので、

DP+PQ+QE=4

より、

DP+QE=2

となります。

三角形DFPとEGQは、高さDF=EGが等しく、面積が1:2です。そのため底辺DPとQEの比も1:2となり、

DP=2/3、QE=4/3

と分かります。

三角形DFPの面積が1なので、

DP×DF÷2=1

です。

DP=2/3を代入するとDF=3です。DFは三角形ABCの高さの半分ですから、ABCの高さは6となります。

したがって、

8×6÷2=24

です。

ここで使った知識は、相似と三角形の面積という比較的基本的なものです。

難しいのは計算そのものではなく、「8と4」→「相似比1:2」→「高さが半分」→「面積1と2が使える」という流れを自分で発見することです。

私はこの問題に、JJMOらしさがよく表れていると思います。

学校の試験なら「相似を利用して求めなさい」というヒントが添えられることもありますが、JJMOでは「何を利用するか」まで受験者に委ねられているからです。

2026年予選第4問|知らない言葉でも定義から考える

第4問には、この問題の中だけで使われる「半端な数」という言葉が登場します。

各桁の数字の平均値が整数にならない正の整数を「半端な数」と定め、連続する8個の整数n、n+1、……、n+7がすべて半端な数となる最小のnを求める問題です。公式解答は10046でした。数学オリンピック財団+1

「半端な数」という名称を事前に勉強しておく必要はありません。

4桁の数なら各桁の数字の和を4で割り、5桁なら5で割った結果が整数になるかどうかを見る、と問題文を普段の言葉へ置き換えればよいのです。

たとえば公式解答の10046から10053までの各桁の和を確認すると、順に11、12、13、14、6、7、8、9となります。

いずれも5の倍数ではありませんから、5桁の平均値は整数にならず、8個とも確かに「半端な数」です。

もちろん、「10046より小さい数には条件を満たすものがない」と示して初めて最小値の証明になります。その部分では桁数や繰り上がりを考えながら候補を排除していく必要があり、単なる試し算だけでは終わりません。

この問題から学びたいのは、珍しい用語そのものではありません。

初めて出会った定義を、割り算・倍数・余りといった自分の知っている形へ変換する力です。

競技数学では、この「知らない言葉を知っている数学へ翻訳する」力がしばしば重要になります。

過去問ノートを作るなら、答えの10046だけでなく、「各桁の平均が整数でない→各桁の和が桁数で割り切れない」と書いておくほうが、次の問題にも生きるでしょう。

2026年本選第2問|「答え」ではなく証明を書く

本選へ進むと、求められる力がはっきり変わります。

第24回本選は2026年2月11日に実施され、4時間で5問、各問8点の合計40点でした。注意事項には、証明が完成していない答案にも部分点が与えられる場合があることが明記されています。数学オリンピック財団

第2問は三角形ABCについて、角BACの二等分線とBCとの交点D、ADの垂直二等分線とAB、ACとの交点P、Qを設定します。

さらにAP上にX、AQ上にYを一定の角度条件を満たすように取り、最終的にB、C、Y、Xの4点が同一円周上にあることを証明する問題です。数学オリンピック財団

予選とは違い、最後に「○○」という数値だけを書けば終わりではありません。

角の等しさや図形の関係を見つけても、

「この条件からこの角が等しい」

「そのため、この2つの角の関係が成り立つ」

「したがって4点が同一円周上にある」

という筋道を、採点者が読める形で書く必要があります。

私は、JJMOの予選と本選の違いを単に「本選のほうが難しい」と表現するだけでは不十分だと思っています。

予選は発想を答えへ変える力が中心ですが、本選はそれに加え、発想を論理として他人へ伝える力まで試されるからです。


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JJMOはどれくらい難しい?2026年の得点分布から考える

2026年の第24回JJMO予選では2649人が参加し、本選受験有資格者となったのは6点以上の135人でした。 数学オリンピック財団+1

単純計算では参加者の約5.1%です。

しかも12点満点を取った参加者は0人でした。11点は1人、10点は3人、9点は4人、8点は7人で、6点を取った86人までを含めて135人が本選受験有資格者となっています。数学オリンピック財団

この数字は、初めて過去問を開いた方にとって大切です。

「12問あるのだから、10問くらい解けなければ話にならない」と思う必要はありません。2026年について言えば、半分の6問を正解した地点が本選受験有資格者の範囲でした。

ただし、6問取れば毎年通過するという意味ではありません。

第23回の2025年は6点以上103人、第22回の2024年は7点以上71人が本選受験有資格者でした。問題の難しさや参加者の成績によって境界は変化します。数学オリンピック財団

「6問しか」ではなく「6問も解く」と考える

予選は3時間で12問です。

単純平均なら1問15分ですが、すべての問題を均等に15分ずつ考える必要はありません。

むしろ、競技として考えるなら「今の自分が解ける問題を見つける」判断も実力の一部です。

最初の数問だから必ず簡単とも限らず、自分にとって得意な図形問題が後ろにあったり、整数問題のほうが早く方針を立てられたりすることもあります。

私は、初心者が過去問を解くとき、単に○と×だけを付ける方法はあまりおすすめしません。

たとえば、

  • 条件を読んですぐ着手できた
  • 考え方は見えたが最後まで進めなかった
  • 解説を見れば理解できた
  • 解説を見ても最初の発想が分からなかった

というように、「どこまで自力で進めたか」を残すほうが、次に何を練習すべきか見えやすくなります。

本選は「一問48分」でも足りないことがある

本選は4時間で5問ですから、単純平均は1問48分です。

しかし実際には、問題を読む時間、図を書き直す時間、試行錯誤する時間、証明を答案として整理する時間まで必要です。数学オリンピック財団

しかも、公式の注意事項が部分点に触れていることは重要です。

完全な証明が見えなくても、正しく導けた補題や途中結果を書き残す意味があります。反対に、頭の中で「たぶんこうだ」と思っただけでは、答案として評価してもらえません。

この点から見ても、本選対策は予選問題を速く解くだけでは足りません。

予選の段階から「どうしてその答えになったのか」を2、3行でも書く癖をつけると、本選への橋渡しになると私は考えています。

中学1年生の銀賞が示すもの

第24回本選では、灘中学校1年の池田達樹さんが銀賞を受賞しています。受賞者12名には中学2年生も含まれていました。数学オリンピック財団

これは「低学年でも簡単に受賞できる」という意味ではありません。

むしろ、JJMOでは学校で何年生まで進んだかだけでは測りきれない、問題への慣れや発想の蓄積が大きいことを示す例として受け止めるのが自然でしょう。

数学を学び直す大人にも似たところがあります。

年齢や暗記量より、「この条件から何が言えるだろう」と腰を据えて考える時間そのものが、数学では大切になる場面があります。


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ジュニア数学オリンピックの過去問はどこまで公開されている?

2026年現在、数学オリンピック財団の公式サイトでは、第1回2003年から第24回2026年までJJMOの問題を確認できます。 数学オリンピック財団

予選・本選方式になったのは第7回の2009年からです。

そのため、公式一覧では2009年以降について予選問題と本選問題がそれぞれ掲載され、2003年から2008年までの第1~6回は現在とは異なる方式の問題として掲載されています。数学オリンピック財団

なお、第19回の2021年は新型コロナウイルスの影響で大会自体が中止されています。公式の過去問一覧にもその旨が示されています。数学オリンピック財団

古いブログや資料を読むと「JJMOの過去問は2019年まで」などと書かれていることがありますが、現在はその情報では足りません。

公式サイトの一覧は第24回2026年まで更新されていますので、過去問を探すときはできるだけ現在の公式一覧を起点にするのが確実です。

参考書では2003~2013年、2019~2024年をまとめて学べる

公式の参考書案内には、『ジュニア数学オリンピック 過去問題集 2003-2013』が掲載されています。

第1回2003年から第11回2013年までの全問題と解答を収録した過去問題集として案内されています。数学オリンピック財団

また『ジュニア数学オリンピック 2019-2024』には、2019年から2024年までの予選・本選の全問題と解答のほか、項目別の問題や知識、JJMOのガイダンスなどが収録されています。数学オリンピック財団

公式サイトで1年ずつ問題を見る方法と、書籍で複数年をまとめて学ぶ方法では用途が少し異なります。

「まずどんな問題か知りたい」という段階なら公式公開問題から始め、何年分も体系的に解きたい段階になってから問題集を加えるほうが、教材を増やしすぎずに済むでしょう。

過去問を探すときは大会番号まで確認する

2026年は、ここでも大会番号が重要です。

「2026年JJMO予選問題」を探すと第24回が出てきますが、その予選実施日は2025年11月16日です。これは誤記ではなく、第24回大会が2026年大会として扱われているためです。数学オリンピック財団+1

これから2026年11月15日に受験するのは第25回です。数学オリンピック財団

したがって、検索するときは、

過去問なら「第24回 JJMO 2026 予選」

今後の日程なら「第25回 JJMO 募集要項」

というように大会番号を加えると、過去問と最新募集情報を取り違えにくくなります。

※画像はAIによるイメージ

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初めてJJMOの問題に挑戦するには?「最初の一手」を記録する

初めてなら12問を一度に解こうとせず、まず予選の1~3問を選び、「何に気づけば進めるのか」を探す練習から始めるのがおすすめです。

難しい問題を前にすると、10分ほど考えて何も浮かばないだけで「自分には数学の才能がない」と感じる方もいます。

しかし、第24回予選では2649人が参加し、満点者は一人もいませんでした。難しい問題を含むことを前提に作られている大会なのです。数学オリンピック財団

私は、初めて取り組む方には次の順番を勧めます。

  • まず「何を求める問題か」を自分の言葉で一文にする
  • 条件を図、式、表のどれかに置き換える
  • 数が大きければ、小さな数の場合を試してみる
  • 図形なら、等しい長さ・平行・角度・比を図へ書き込む
  • 20~30分進まなければ、分かったところまでを記録する
  • 解答を読んだら、計算結果より「最初の一手」を確認する
  • 翌日、解答を閉じて白紙から再び考える

この方法のポイントは、「解けたかどうか」だけを成績にしないことです。

たとえば予選第1問なら、「4と8を見て相似に気づいた」というところまで自力で進めたなら、それは次の図形問題にも使える一歩です。

予選第4問なら、「半端な数という知らない言葉を、各桁の和が桁数で割り切れるかどうかに直した」という変換そのものが収穫になります。

「最初の一手ノート」を作る

私が特におすすめしたいのは、過去問ノートに答えとは別の欄を一つ作ることです。

そこへ、

「4と8を見たら比を疑う」

「連続整数では繰り上がりを見る」

「新しい定義は式や余りに言い換える」

「同一円周上を示したいなら、等しい角を探す」

といった「最初の一手」を短く書きます。

同じ問題が大会で再び出題されるわけではありません。

しかし、知らない問題を知っている構造へ変える着眼点は、姿を変えて何度も使えます。

私は長く学びを続ける中で、完成した解法を丸ごと覚えるより、「なぜそこに目を付けたのか」を覚えるほうが長く残ると感じてきました。

競技数学でも同じで、解答の最後の数値より、最初の数分に何を見るかのほうが大切な場合があります。

最初から苦手分野を全部克服しようとしない

JJMOの公式概要には、代数、組合せ論、幾何、数論という幅広い出題分野が示されています。数学オリンピック財団

その一覧を見ると、「全部勉強してからでなければ過去問を解いてはいけない」と身構えてしまうかもしれません。

私は、むしろ逆の順序でもよいと思います。

まず実際の過去問を数年分眺めて、「図形ならもう少し考えていたい」「整数問題は面白い」「組合せは手が止まりやすい」と、自分の反応を確かめてみるのです。

その後で必要な分野を補えば、参考書で学ぶ知識と実際の問題がつながりやすくなります。

すべてを準備してから始めるのではなく、好きな問題を入口にして必要な知識を後から増やすという進み方も、学びを長く続けるうえでは十分に価値があります。

考察|JJMOの難しさは「知っているか」より「つなげられるか」にある

ここからは筆者としての考えです。

実際の2026年問題を見ていると、JJMOを単に「中学生向けの非常に難しい試験」と説明するだけでは、その面白さを十分に伝えられないと感じます。

予選第1問で必要になる相似や面積は、特別に珍しい数学ではありません。

それでも難しくなるのは、「ここで相似を使います」という標識が問題の中に立っていないからです。

知識を工具箱にたとえるなら、学校の練習問題には「今日はドライバーを使います」と書いてあることがあります。

JJMOでは、目の前の状況を見て、工具箱から何を出し、どの順番で使えばよいのかを自分で決めるところから始まります。

この違いは大きいと思います。

予選と本選の間には「説明する数学」がある

もう一つ私が重要だと感じるのは、予選と本選を単純に難易度の上下だけで見ないことです。

予選は12問の答えだけを記入しますが、本選は5問の記述式で、証明の途中にも部分点が与えられる場合があります。数学オリンピック財団+1

頭の中で「分かった」と感じることと、その考えを他人が読める順序で書くことには距離があります。

長く仕事や学びに携わってきた者としても、「理解していること」と「説明できること」は別の段階だと何度も感じてきました。

JJMO本選は、その違いが非常にはっきり表れる場です。

だからこそ、予選の練習でも正解を出したあとに、

「最初に何に気づいたのか」

「その次に何が言えたのか」

「なぜその計算をしたのか」

を短く書いておく価値があります。

AIで解答を得やすい時代ほど「解く前の記録」が価値を持つ

現在は、数学の答えや解法を調べること自体は以前より容易になりました。

だからこそ私は、JJMOの過去問では解答を見る前の自分の思考を残すことに、以前以上の価値があると考えています。

どこまで図を描いたか。

何を式に直したか。

どの小さな場合を試したか。

どこで手が止まったか。

こうした記録は、完成された模範解答には載っていません。

そこには、自分が条件を見落としやすいのか、図形なら粘れるのか、整数問題では小さい場合を試す癖があるのかといった、自分自身の考え方が表れます。

これは大会を目指す中学生だけの話ではありません。

大人になってから数学を学び直す場合にも、一問を30分で解かなければならない理由はありません。数日にわたって眺め、図へ一本線を加え、翌日にまた考えてもよいのです。

年齢を重ねると、速さだけを競う学びから少し離れることができます。

答えへ急ぐのではなく、「昨日分からなかったことが今日は一つつながった」という時間を味わえることも、数学を学び直す豊かさの一つではないでしょうか。


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まとめ|ジュニア数学オリンピックの問題は「最初の一手」が鍵になる

ジュニア数学オリンピック(JJMO)は、中学生以下を対象とする数学コンテストです。2026年8月現在、これから行われる第25回は、予選が2026年11月15日のオンライン3時間・12問、本選が2027年2月11日の4時間・5問記述式として案内されています。数学オリンピック財団

一方、現在公開されている最新過去問は第24回(2026年)で、その予選は2025年11月16日に実施されました。公式サイトでは第1回2003年から第24回2026年までの問題を確認でき、2009年以降は予選・本選に分かれています。数学オリンピック財団+1

2026年予選第1問では相似と面積、第4問では問題独自の定義を数式へ翻訳する力、本選第2問では図形の関係を証明として表現する力が問われました。予選では2649人中135人が6点以上で本選受験有資格者となり、満点者はいませんでした。数学オリンピック財団

ですから、初めて過去問を開いて一問もすぐに解けなくても、それだけで向いていないと判断する必要はありません。

まず一問を選び、条件を整理し、図や式へ置き換え、「どこに気づけば進めるのだろう」と考えてみてください。

解けなければ、どこまで分かったかを残します。

解答を読んだら、最後の答え以上に「最初の一手」を確認し、翌日に白紙からもう一度考えます。

私は、ジュニア数学オリンピックの問題が教えてくれる大切なことは、難問を何問解いたかだけではないと思っています。

分からないものを前にして、知っていることを一つずつつなぎ、昨日よりほんの少し先まで考えてみること。

そこに、JJMOだけでなく数学そのものを学ぶ奥深さがあります。


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よくある質問

ジュニア数学オリンピックは何年生まで受けられますか?

第25回JJMOは、2026年11月時点で中学3年生以下が応募資格です。その条件を満たせば、中学1・2年生や小学生も応募対象になり得ます。数学オリンピック財団

JJMOの予選と本選はどう違いますか?

第25回は、予選がオンライン3時間・12問の単答式、本選が4時間・5問の記述式です。第24回本選では各問8点・合計40点で、証明が完成していない答案にも部分点が与えられる場合があると明記されていました。数学オリンピック財団+1

ジュニア数学オリンピックの過去問はどこまでありますか?

数学オリンピック財団の公式サイトでは、2026年現在、第1回2003年から第24回2026年までのJJMO問題を確認できます。現在の予選・本選方式は第7回2009年からです。数学オリンピック財団

執筆:天水健太郎(元行政職員・生涯学習コラムニスト)

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