「ご趣味は何ですか?」と尋ねられたとき、明確に答えられる方はどれほどいるでしょうか。特に中高年になると、仕事や家庭に追われ、自分の時間を持つことが難しくなりがちです。しかし、人生100年時代と言われる現代、定年後の時間を充実させるためにも、趣味を持つことは非常に重要です。
本記事では、中高年が趣味を見つける際に考慮すべき9つのポイントを紹介します。これらのポイントを参考に、自分に合った趣味を見つけ、豊かなセカンドライフを送りましょう。
1. 趣味について考えるようになったきっかけ
若い頃は、テニスやゴルフ、カラオケなど、周囲の影響で様々な娯楽を楽しんできました。しかし、これらは本当に自分が楽しんでいる趣味だったのでしょうか。ある日、先輩から「盆栽を始めてみたらどうか」と勧められました。その時は、「盆栽なんて年寄りの趣味だ」と思っていましたが、先輩の「趣味は時間がかかるものだ。早く始めれば、それだけ長く楽しめる」という言葉にハッとさせられました。
また、自分の周囲の人々が趣味を楽しんでいる姿を見ると、「私も何か始めたい」と思うようになります。趣味は一人ひとりの生活に彩りを与えてくれます。それは新しい世界との出会いでもあり、今まで知らなかった自分の一面に気づくきっかけにもなるのです。
2. 高齢化社会の趣味の条件を考えよう
中高年が趣味を選ぶ際には、以下のような条件を考慮することが重要です。将来的な身体の変化やライフスタイルの変化を見据え、無理なく長く続けられる趣味を選ぶことが鍵となります。
2-1. 三つ以上の異なるカテゴリーを考える
趣味は一つに絞る必要はありません。運動系、頭脳系、芸術系など、異なるカテゴリーの趣味をいくつか持っていると、生活にリズムが生まれます。また、季節や気分、体調に応じて楽しみを切り替えることができ、気持ちの切り替えにも役立ちます。
2-2. 最低限3年から5年続けたうえで判断する
趣味はすぐに結果が出るものではありません。はじめは難しく感じたり、面白さが見えにくいこともありますが、続けることでだんだんと魅力が見えてくるものです。「飽きたからやめる」のではなく、まずは一定期間続けてみることが大切です。
2-3. 60過ぎにある程度楽しめるようにスタート時期を考える
中高年になってから新しいことを始めるのはハードルが高く感じられるかもしれません。だからこそ、まだ体力的・気力的に余裕のある50代前半から始めておくと、60代で無理なく楽しめる趣味に育てていくことができます。
2-4. メジャーな競技には気をつけろ
ゴルフやテニスなどの競技系趣味は確かに人気がありますが、競争意識が強くなると気疲れすることもあります。仲間と比較し合うのではなく、自分のペースで成長を楽しめる趣味を選びましょう。
2-5. 説明しなければ解らないものは避ける
自分だけが楽しいと感じる趣味でも、あまりにマニアックすぎると周囲との話題にしづらくなります。共通の話題として他人とも楽しめる趣味であれば、自然と人間関係も広がっていきます。
2-6. 体力がなくなってもできるもの
年齢とともに関節痛や腰痛など、体力の衰えが目立つようになります。そのような状況でも続けられる趣味、たとえば囲碁や将棋、編み物や俳句などは、生涯にわたって付き合える良き相棒となるでしょう。
2-7. お金がかからないもの
趣味にかけるお金は、年金生活に入ると慎重にならざるを得ません。しかし、読書や散歩、写真撮影など、お金をかけずとも楽しめる趣味はたくさんあります。費用のかからない趣味を選べば、長期的にも安心です。
2-8. どこでもできること
旅行先でも続けられる趣味は、生活の中に柔軟性を与えてくれます。スマホで撮影しておく写真日記や、旅先でのスケッチなど、どこにいてもできる趣味は持っていて損はありません。転居や介護など生活が変わっても続けられる点は大きな魅力です。
2-9. 一人で楽しめること
仲間と楽しむ趣味も良いものですが、予定が合わない、気を遣う、という理由で億劫になることもあります。一人でも没頭できる趣味を持っておくことで、時間の自由度が高まり、孤独も感じにくくなります。
3. 中高年に人気の具体的な趣味とは?
実際に中高年の方が多く取り組んでいる趣味には、次のようなものがあります:
- ウォーキング・ハイキング
- 家庭菜園・ガーデニング
- 俳句・短歌・詩作
- 写経・写仏
- 水墨画・書道
- クラシック音楽・楽器演奏
- 歴史研究・郷土史散策
- 写真撮影・SNS投稿
- 語学学習・旅行プラン作成
これらは体力や経済的な制約があっても続けやすく、また精神的な充足感を得やすい点でおすすめです。新しい友人ができたり、健康維持につながったりと、生活の質を向上させる効果も期待できます。
4. 趣味は人生の“伴走者”
趣味は単なる時間つぶしではありません。日常に小さな充実をもたらし、健康寿命を延ばし、人とのつながりを深める“伴走者”のような存在です。年齢を重ねるほどに、「何をしてきたか」よりも「今何を楽しんでいるか」が問われます。
例えば、ある人は退職後に俳句を始め、月に一度句会に参加するようになりました。それまで人付き合いが少なかったその人が、今では句会仲間と温泉旅行に出かけるなど、新たな人間関係を築いています。趣味が人生を変えることもあるのです。
5. まとめ|人生を豊かにする趣味の見つけ方
中高年が趣味を持つことは、精神的にも肉体的にも多くの恩恵をもたらします。無理せず、自分らしいペースで、興味のある分野に触れてみましょう。そして「楽しい」「もっとやってみたい」と思えるものに出会えたら、それを長く育てていくことが、豊かなセカンドライフへの第一歩です。
この記事が、あなたの新たな趣味との出会いのきっかけになれば幸いです。
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