国際郵便のルールを決める国際連合の関係機関の一つでのある万国郵便連合の事務局長に、日本郵便の目時政彦常務執行役員が選出されました。
日本人が国連関係機関のトップに就くのは2年ぶりだそうです。そこで、目時政彦氏と国際連合の関係機関について調べてみました。
万国郵便連合の事務局長となった目時政彦氏の経歴は
目時政彦氏は1958年10月29日生まれの現在62歳。東京大学文学部を卒業されて、1983年に郵政省に入省されました。
2014年4月より日本郵便株式会社の執行役員に就任しています。
万国郵便連合では1999年北京で開かれた第22回万国郵便大会議、第5委員会の議長、2012年郵便業務理事会の議長を歴任しています。
また、1992年にはタイ日本国大使館にも勤務されています。
2018年スイスで開催された万国郵便連合年次会合において佐藤ゆかり総務副大臣が目時氏の擁立を発表しております。
個人的なプロフィールとしては既婚者で息子が一人いるそうです。趣味はゴルフとアニメだそうです。
日本🇯🇵出身の目時政彦さんが、#万国郵便連合 の次期事務総長に選挙を経て選出されました㊗️#UPU は公的な郵政サービスに普遍的にアクセスできるようにすることを任務とする国際機関。1874年設立、1948年に国連の専門機関となった。詳しくは https://t.co/BuYZ1zNnms https://t.co/Pc1Rsvq0K6
— Kaoru Nemoto (@KaoruNemoto) August 26, 2021
目時政彦氏が事務局長となる万国郵便連合とはどんな機関でしょう
万国郵便連合は加盟国間の郵便業務を調整して国際郵便制度をつかさどる機関です。1874年万国郵便条約によって設立された2番目に古い専門機関です。本部はスイスのベルンに置かれています。
次の3点が基本的合意事項となっています。
1.地球上のほぼすべての地域から固定料金に近い形で郵便物が送れること。
2.国際郵便、国内郵便が同等の扱いがなされること
3.国際郵便料金はそれぞれの国で徴収し、使用すること。
郵便切手を貼った郵便物については、どの加盟国の切手でも国際的に通用することを万国郵便連合憲章で定めています。また、国際返信切手県の発行事務も行っています。
現在の加盟国は192か国となっています。
日本は1877年に23か国目として加盟しています。
2022年1月からはアジア出身者として初めての事務局長就任となります。
#国際連合の専門機関「#万国郵便連合(UPU)」の #国際事務局長 選挙で #日本郵便 常務執行役員の #目時政彦 氏がアジア地域から初めて選出されたとのこと。
日本人による国連の15専門機関のトップ就任は10年ぶりです。 ICT、デジタル時代の郵便の変革は国際的な課題で、活躍が期待されます。 https://t.co/OGMwPKEs66— 清原慶子Official (@kiyoharakeiko) August 26, 2021
その他に国際連合の関係機関としてはどのようなものがあるのでしょうか
国際連合は膨大な組織になっておりますので、今回は関係機関に絞ります。
関連機関
関連機関とは、国際連合との間で連携協定を結んでいないが、総会、安全保障理事会または経済社会理事会への報告を行うなど、国際連合と密接な関係にある国際機関となっています。次のようなものがあります。
世界貿易機関(World Trade Organization, WTO)
国際原子力機関 (International Atomic Energy Agency, IAEA):国際連合総会と国際連合安全保障理事会に対して報告する。
包括的核実験禁止条約機構準備委員会 (Preparatory Committee for the Nuclear-Test-Ban-Treaty Organization, CTBTO Prep. Com.):国際連合総会に対して報告する。
化学兵器禁止機関(Organization for the Prohibition of Chemical Weapons, OPCW):国際連合総会に対して報告する。
比較的よく知られたなじみのある機関もあるでしょう。ちなみに2年前まで日本人の天野氏が事務局長を務めていたのは、2番目の国際原子力機関です。
専門機関
国際連合の専門機関については、経済、社会、文化、教育、保健などの分野で広い国際的責任を有する国際機関のうち、国際連合と連携関係をもつものとされています。
経済社会理事会は、専門機関との間で連携関係についての条件を定める協定を締結することができるとしされており、これを結んだ機関が厳密な意味での「専門機関」としています。
個々の専門機関に関する条約を批准することにより国際連合非加盟国であっても専門機関には参加できます。
国際連合食糧農業機関(FAO)、国際民間航空機関(ICAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、国際海事機関(IMO)、国際電気通信連合(ITU)
国際連合地域開発センター(UNCRD)、国際連合工業開発機関(UNIDO)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、世界観光機関(UNWTO)、万国郵便連合(UPU)、世界銀行(WB)グループ
国際復興開発銀行(IBRD)、国際投資紛争解決センター(ICSID)、国際開発協会(IDA)、国際金融公社(IFC)、多国間投資保証機関(MIGA)、世界保健機関(WHO)、世界知的所有権機関(WIPO)、世界気象機関(WMO)
今回、目時氏が就任された万国郵便連合はこちらの分類の機関にあたります。今大活躍の世界保健機関もこちらにあります。
国連の関係機関の幹部ポストに日本人はどのぐらい就任しているのでしょう
国連の関係機関の幹部ポストについては、この2年間日本人が就任しておらず、ポストを獲得することが重要な課題となっていました。国際ルールの策定などがこれら機関の仕事になるわけですから、日本の存在感を高めるために努力していたようです。
今回の目時氏の就任についても国を挙げての応援体制の結果として成功したようです。
一方、これらポストについても中国の存在感が高まってきており、FAO=食糧農業機関やITU=国際電気通信連合など、国連の関係機関のうち3つの機関のトップの地位を確保しています。
目時政彦氏の経歴は?万国郵便連合事務局長に就任が決定のまとめ
久しぶりに、日本としては良いニュースでしたので取り上げてみました。以前から日本は拠出金の割に国際機関で働く人数が少なく問題となっていました。
日本政府も何とか1000人を目指しているようですが、現在のところ912名にとどまっているそうです。それでも、分担金比率を考えれば相当少ないでしょう。
日本人にとっては、どうしても目が国内に向いてしまう傾向があってなかなか外国で働くモチベーションが湧かない若者が多いのではないでしょうか。
逆に考えれば日本国内の環境が良すぎたのかもしれません。でも、最近の状況を見ているとそうとも言い切れなくなりつつあるようです。
合わせて、やはり言葉の問題があるようです。基本、使用言語2か国語が必要となりますので、母国語+2国語という状況はつらいでしょうね。
また、日本から送られる場合は良いのですが、現地採用となると、修士、博士は当たり前ですから、ここらも日本の感覚とはそぐわない可能性もあります。
いずれにしろ、目時氏の今後の活躍に期待しましょう。
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