数学オリンピック中1でも解ける?中学1年生向け問題の難しさを解説

数学オリンピックの過去問を開き中学1年生がノートに図や式を書きながらじっくり考えている学習机 数学

JJMOには中1でも解ける問題があり、実際に2026年大会では中1の銀賞受賞者も出ています。数学オリンピック財団

ただし、「中1でも挑戦できる」ことと「中1の教科書だけで簡単に解ける」ことは別です。この記事では、広い意味での「数学オリンピック」のうち、中学生以下を対象とする日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)を中心に、難易度を実際の得点分布と過去問から読み解きます。

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数学オリンピックは中1でも本当に解ける?JJMOとの違いは?

中学1年生でもJJMOに参加でき、実際に上位入賞することも可能です。 第24回JJMOでは、灘中学校1年の池田達樹さんが銀賞を受賞しています。数学オリンピック財団

最初に、「数学オリンピック」という言葉を少し整理しておきましょう。

日本国内では、高校生なども参加する日本数学オリンピック(JMO)と、中学生以下を対象とする日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)があります。さらに、その先には各国の代表が参加する国際数学オリンピック(IMO)があります。

数学オリンピック財団によると、JJMOは中学生以下の数学的才能の発掘と育成を目的とした大会で、JMOへつながる前段階として位置づけられています。数学オリンピック財団

したがって、「数学オリンピックは中1でも解けるのか」と検索している方にとって、最初に検討しやすいのがJJMOです。

2026年2月に結果が発表された第24回JJMOの受賞者は12人でした。内訳は金賞1人、銀賞4人、銅賞7人で、その銀賞4人の中に中学1年生の池田達樹さんが入っています。数学オリンピック財団

もちろん、これは「中1なら普通に銀賞を取れる」という意味ではありません。

むしろ後ほど見る得点分布から分かるのは、JJMOそのものが非常に難しい大会だということです。それでも、学年だけを理由に「中1にはまだ早い」と決める必要はないという実例にはなります。

JJMOは、2003年7月に日本で開催された第44回国際数学オリンピック日本大会を記念して始まり、第1回大会は2003年1月13日に開催されました。第7回から予選・本選方式となり、第24回から予選の実施時期が11月第3日曜日へ変更されています。数学オリンピック財団

この沿革を見ると、JJMOは単に「難しい数学問題を解いてみよう」というイベントではありません。

予選、本選、表彰、さらに一部の上位者については代表選考合宿へと続く、体系的な数学コンテストとして設計されています。

私は長年、学習に関する資料を調べる際、「誰が対象なのか」と「実際にはどの程度難しいのか」を分けて考えるようにしてきました。

JJMOにも同じことが言えます。応募資格は中学生以下ですが、問題の難易度が通常の中学校の定期テスト程度という意味ではありません。

ここを取り違えないことが、中1で数学オリンピックを始める第一歩です。

本稿は2026年8月19日時点で、数学オリンピック財団の「日本ジュニア数学オリンピック概要」「JJMO予選の得点分布と成績優秀者」「第25回JJMO募集要項」「第24回JJMO予選問題・解答」などを確認して構成しています。開催情報は今後変更される可能性もあるため、実際の申込時には最新の公式募集要項を確認してください。数学オリンピック財団+3数学オリンピック財団+3数学オリンピック財団+3


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JJMO予選は中1にどれほど難しい?第24回は6点以上が約5.1%

第24回JJMO予選では、参加者2,649人のうち6点以上を取った135人が本選受験有資格者でした。割合にすると約5.1%、つまり約20人に1人です。 数学オリンピック財団

さらに注目したいのが、0〜2点だった参加者の人数です。

第24回の得点分布では、0点296人、1点530人、2点688人でした。合計すると1,514人で、参加者2,649人の約57.2%にあたります。数学オリンピック財団

つまり、参加者の半数以上が12問中2点以下だったことになります。

これは中1の方や保護者にとって、JJMOの難易度を非常に分かりやすく示す数字ではないでしょうか。

学校のテストでは、12問あれば10問ほど正解して初めて「よくできた」と感じるかもしれません。

JJMOでは、その物差しをそのまま当てはめてはいけません。

第24回では6問正解すれば本選資格圏に入りましたが、その6点以上に到達したのは全参加者の約5.1%だけでした。

一方で、12点満点を取った人は0人でした。11点が1人、10点が3人、9点が4人、8点が7人、7点が34人で、6点の86人を加えた135人が本選受験有資格者となっています。数学オリンピック財団

「12問あるから、まず10問を目標にする」という大会ではないことが分かります。

直近5大会を見ると、この傾向は一度だけのものではありません。

大会 年 参加者数 本選資格最低点 本選資格者 資格者率
第24回 2026 2,649人 6点 135人 約5.1%
第23回 2025 2,947人 6点 103人 約3.5%
第22回 2024 2,891人 7点 71人 約2.5%
第21回 2023 2,521人 7点 129人 約5.1%
第20回 2022 2,437人 6点 141人 約5.8%

出典は数学オリンピック財団「日本ジュニア数学オリンピック概要」「JJMO予選の得点分布と成績優秀者」です。資格者率は公表された参加者数と資格者数から計算し、小数第2位を四捨五入しています。数学オリンピック財団+2数学オリンピック財団+2

ここから二つのことが分かります。

第一に、本選へ進める人数は、直近5大会では参加者のおおむね数%です。予選通過そのものが高い水準の目標だと考えたほうがよいでしょう。

第二に、通過に必要な点数は固定されていません。

2022年、2025年、2026年は6点以上でしたが、2023年と2024年は7点以上でした。したがって、「6問解けば毎年必ず本選へ行ける」と覚えてはいけません。数学オリンピック財団

中1で初めて挑戦するとき、私はこの数字を「厳しさ」だけでなく「目標の置き方」を決める材料として見てほしいと思います。

初めて過去問を解いて1問しかできなかったとしても、それだけで「向いていない」と判断する必要はありません。

第24回では0〜2点の参加者が約57.2%を占めました。そう考えれば、まず1問、次に2問、そして3問へと増やしていくことにも十分な意味があります。

特に中1の場合、本選通過点と現在地との距離だけを見るのではなく、先月より自力で考えられた問題が増えたかを見るほうが、学習の状態をつかみやすいでしょう。

このように得点分布を割合まで計算してみると、JJMOの「難しい」という言葉が少し具体的になります。

難しいとは、単に問題文が長いという意味ではありません。参加者全体を見ても、わずか数問の差が大きな位置の違いになるほど、一問一問の発想が重い試験なのです。


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中1向けJJMO問題の難しさは「知識量」より「発想」にある

中1がJJMOで最初につまずきやすいのは、高校数学を知らないことだけではありません。知っている整数・面積・平均などを、見慣れない方法で使う必要があることです。

数学オリンピック財団は、JJMOの主な出題分野を代数、組合せ論、幾何、数論の4分野に整理しています。数論には約数・倍数、素数、不定方程式、合同式、幾何には合同・相似、三角形、円などが含まれています。数学オリンピック財団

ここで実際の第24回JJMO予選を見てみましょう。

2025年11月16日に実施された第24回予選は、3時間で12問、各1点、答えのみを記入する形式でした。公式に公開された問題を見ると、第1問は三角形と長方形が重なった図で面積を求める幾何、第2問は1〜4の異なる整数を使った積が平方数になる条件を考える問題でした。数学オリンピック財団+1

第4問では、各桁の平均値に注目する整数の問題が出されています。平均という言葉そのものは中1にとって特別に高度ではありませんが、連続する整数と各桁の数字を結びつけて考えなければなりません。数学オリンピック財団+1

この二つの例は、JJMOの難しさをよく表しています。

知らない公式を100個覚えていなければ入口にも立てない、という問題ばかりではありません。

むしろ、

「見たことのある材料なのに、何をすればよいか分からない」

という難しさがあります。

例えば第2問なら、問題に現れる整数は1、2、3、4です。

数字そのものは小学生でも知っています。しかし、並べ方によって生じる積が平方数になる条件を見抜こうとすると、約数、素因数、平方数の性質などを組み合わせて整理する必要があります。数学オリンピック財団

第4問も、平均を計算するだけなら難しくありません。

ところが「各桁の平均が整数にならない」という独自の条件を、連続する八つの整数について同時に満たす最小値を探すとなると、具体例を試し、桁の変化を観察し、条件から外れる場合を整理する必要があります。数学オリンピック財団

私は、中1で最初に過去問を選ぶなら、問題文に使われている言葉をほぼ理解できる問題から入るのがよいと考えています。

それは「簡単そうな第1問から順番に」という意味ではありません。

問題番号だけではなく、「整数なら試してみたい」「図形なら図を描けそうだ」「数え上げなら表を作れそうだ」という、自分の手が動きそうな問題を探します。

※画像はAIによるイメージ

数論なら、約数・倍数、奇数・偶数、余りなどは中1でも入りやすい題材です。

例えば合同式という名称をまだ知らなくても、「3で割った余りは0、1、2のどれか」と分類する考え方なら理解できます。

組合せ論でも、最初から複雑な公式を使う必要はありません。

小さな場合を全部書いてみる、表を作る、同じものを二重に数えていないか確認する、といった作業から始められます。

幾何では、むやみに補助線を引くよりも、同じ長さ、同じ角、平行、対称といった「変わらないもの」を探すことが入口になります。

代数についても、式変形の技術だけではなく、小さな値を代入して規則を探したり、左右を入れ替えて同じ形になるかを調べたりすることが役立ちます。

大切なのは、「中1向き」という言葉を「易しい」という意味に変換しないことです。

安藤哲哉氏の『中学生からの数学オリンピック 第2版』も、「中1以上向き予選問題」「中2以上向き予選問題」「中3以上向き予選問題」などに分けて構成され、入門問題から超難問まで600問を収録しています。2023年刊行の第2版であること、600問収録であることは版元の書誌情報でも確認できます。版元ドットコム

この分類は、私は「学年別の簡単・普通・難しい」というより、必要知識を考えながら問題を選ぶための道しるべとして使うのがよいと思います。


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2026年に中1がJJMOへ参加するには?第25回の日程は?

2026年8月19日時点で、中1がこれから申し込める大会は第25回JJMOです。個人申込期間は2026年7月1日から9月10日、予選は11月15日に行われます。 数学オリンピック財団+1

応募資格は、2026年11月時点で中学3年生以下です。

したがって中学1年生はもちろん、小学生も条件を満たせば応募できます。個人受験料は4,000円です。数学オリンピック財団

第25回JJMOの主な予定は次の通りです。

  • 個人申込期間:2026年7月1日〜9月10日
  • 応募資格:2026年11月時点で中学3年生以下
  • 個人受験料:4,000円
  • 予選:2026年11月15日(日)13時〜16時
  • 予選形式:オンライン、3時間12問、単答式
  • 本選:2027年2月11日(木・建国記念の日)13時〜17時
  • 本選形式:4時間5問、記述式
  • 本選上位10名前後をJJMO受賞者として発表
  • 上位5人を代表選考合宿へ招待
  • 代表選考合宿は2027年3月下旬予定
  • 合宿後にIMO日本代表選手候補6人を決定

これらは数学オリンピック財団「第25回日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)募集要項」に掲載されている内容です。数学オリンピック財団

第25回は、2027年7月開催予定の第68回国際数学オリンピック・ハンガリー大会の日本代表候補選抜も兼ねています。数学オリンピック財団

ただ、中1で初めて参加する方が、いきなりIMO代表を目標にする必要はありません。

まずは11月の予選を一度経験し、「3時間の中で自分がどのように考えるのか」を知るだけでも十分です。

募集要項には、試験の前提知識について「世界各国の中学校程度」とされ、数、図形、ゲーム、組み合わせ的問題などが題材となり、学校で学習する内容とは多少異なる問題も扱われると説明されています。数学オリンピック財団

この説明は、中1の受験者にとって重要です。

JJMOは「日本の中学1年生の8月までに習った範囲」から出題される試験ではありません。

一方で、高校や大学の公式をどれだけ先取りしたかだけを競う試験でもありません。

中学生が理解可能な数学を土台に、初めて見る条件をどう整理するかを試す大会と考えると実態をつかみやすいでしょう。

なお、第24回までの流れを見ていると年の表記には注意が必要です。

「2026年・第24回JJMO」の予選は2025年11月16日に実施され、本選は2026年2月11日に行われました。第24回から予選時期が11月へ移ったため、大会名の年と予選の暦年が異なります。数学オリンピック財団+1

今から申し込む第25回については、予選が2026年11月15日、本選が2027年2月11日です。ここは過去問検索の際にも取り違えないようにしたいところです。数学オリンピック財団


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中1がJJMO問題を始めるなら何から?過去問の選び方と学習手順

中1で始めるなら、最初の目標は「12問解く」ではなく、「自分で考え続けられる1問を見つける」ことで十分です。

数学オリンピック財団は公式サイトでJJMOの過去の予選問題・本選問題を公開しています。現在の概要ページからも第24回、第23回、第22回などの問題を確認できます。数学オリンピック財団

最初から3時間を計って本番形式で解く必要はありません。

私なら、中1の初学者には次のように進めることを勧めます。

まず過去問12題をざっと眺め、問題文を読んで「何を聞かれているか」が分かるものに印を付けます。

その中から一題だけ選び、20〜30分ほど考えます。

整数なら、小さな数を書き出します。

組合せなら、場合を表にします。

幾何なら、図を大きく描き直します。

ここで解けなければ、すぐに「自分には才能がない」と考える必要はありません。

解説を見るときは、最終的な答えを暗記するよりも、「解答者は最初に何へ注目したのか」を確かめます。

例えば、自分は延々と計算していたのに、解説では最初に奇数と偶数へ分けていたとします。

その場合、覚えるべきなのは答えの数字ではありません。

「整数問題を見たとき、まず偶奇を調べるという選択肢がある」という一手です。

そして二、三日後、解説を閉じて同じ問題へ戻ります。

一度読んだはずなのに解けないこともあります。しかし、そのときに「最初に偶奇を見るのだった」と自力で思い出せれば、前回とは違います。

私は、この解き直しがJJMO学習では特に大切だと考えています。

学校の計算練習では、似た問題を何十問も解く方法が効果的な場合があります。

数学オリンピックでは、一つの良い問題を時間を置いて何度か考え、「なぜその発想が必要だったのか」まで理解することにも大きな価値があります。

※画像はAIによるイメージ

中1なら、問題を三つに仕分けする方法も役立ちます。

「今の知識で考えられそうな問題」「新しい知識を一つ覚えれば考えられそうな問題」「今は保留する問題」です。

この仕分けをしておくと、知らない用語が一つ出ただけで、12問すべてを「無理」と感じることが少なくなります。

また、公式のJJMO参考書案内では、2019年から2024年までのJJMO予選・本選を収録した『ジュニア数学オリンピック 2019-2024』などが紹介されています。JJMO応募者には、前年に実施された問題と解答を掲載した『JUNIOR math OLYMPIAN』が送付されることも案内されています。数学オリンピック財団+1

教材を増やし過ぎる必要はありません。

中1の段階では、公式過去問一つでも十分に学べます。

むしろ「問題集を何冊終えたか」より、「一度分からなかった問題から何を学び、次の問題で使えたか」を見たほうがよいでしょう。

第24回の得点分布では、半数以上が2点以下でした。

この数字と合わせて考えると、初学者が1問や2問で立ち止まることは、JJMOという大会の難易度から見て不自然ではありません。数学オリンピック財団

最初の一か月は「正解数」だけでなく、次のような変化を記録すると学びが見えやすくなります。

問題文を最後まで理解できた、具体例を自分で作れた、場合分けを思いつけた、図を書き直せた、解説の最初の一手を翌週に再現できた――こうした変化です。

その小さな変化が積み重なると、やがて「解けなかった問題」が「途中まで進める問題」に変わります。

そして、ある時「自分で最後まで解けた問題」が一題現れます。

中1でJJMOを始めるなら、私はまずそこを最初の到達点にしたいと思います。


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中1で数学オリンピックに挑戦する意味は?得点より大切だと感じること

ここからは、公式資料と過去問、得点分布を確認したうえでの私見です。

中1から数学オリンピックに取り組む最大の意味は、私は高校数学を誰より早く先取りすることではないと考えています。

むしろ、「どの方法を使うか自分で決める数学」に早い時期から触れられることです。

学校の授業では、学習する単元があらかじめ決まっています。

方程式の時間なら方程式を使う問題が並び、比例の時間なら比例を使う問題が並びます。

ところがJJMOでは、問題を読んでも「今日はこの公式を使いなさい」という札が付いていません。

第24回予選を見ても、面積、平方数、各桁の数字、数え上げ、整数、図形など、異なる見方を要求する問題が12題並んでいます。数学オリンピック財団

どの道具を使うべきか自分で選ぶ必要があります。

私は、ここに数学オリンピック特有の学びがあると思います。

もちろん、予選を通過し、本選や代表選考合宿を目指す生徒にとっては高度な訓練も必要です。

実際、第25回では本選上位10名前後がJJMO受賞者となり、上位5人が代表選考合宿へ招待される予定です。数学オリンピック財団

しかし、そこへ進まなければ挑戦が無意味になるわけではありません。

第24回で本選資格を得たのは約5.1%です。

逆に言えば、大多数の参加者は本選へ進みません。それでも毎年数千人が予選に参加しています。数学オリンピック財団

この数字を見て私は、JJMOを「勝ち残った人だけの学び」と考えないほうがよいと感じます。

一問の整数問題を30分考え、駄目だった方法を消し、別の例を試し、「この条件は何のためにあるのだろう」と読み直す。

そうした時間は、結果表の点数だけでは測りにくいものです。

特に中1では、学校数学との両立も大切です。

数学オリンピックの勉強のために、学校で扱う計算、方程式、比例、図形などの基礎を軽く見る必要はありません。

基礎計算が正確だからこそ、難問に向き合ったときに「計算ミスなのか、考え方が違うのか」を判断しやすくなります。

私は、学校数学を土台、JJMOをその土台の上で自由に歩き回る時間と考えるくらいがちょうどよいと思います。

第24回で中1の銀賞受賞者が出たことは、大きな励みになる事実です。数学オリンピック財団

ただし、同じ中1だからといって、その受賞者と現在の自分を一直線に比較する必要はありません。

中1の一年間は長いものです。

最初は0問でも、整数問題だけなら少し考えられるようになるかもしれません。

次には組合せの表を自分で作れるかもしれません。

その先で、初めて見る問題に対して「まず小さい場合を試してみよう」と自然に手が動くようになるかもしれません。

私がJJMOの過去問と得点分布を見て最も大切だと感じるのは、「難しいから、できる子だけがやる」のではなく、「難しいからこそ、一問ずつ距離を測りながら学べる」という点です。

中1にとっては、本選通過だけが成果ではありません。

一年前なら何も書けなかった問題に、自分なりの図や表を書けるようになる。

その変化も、十分に価値ある成長だと私は考えています。


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まとめ

数学オリンピックに興味を持った中1なら、まず中学生以下を対象とするJJMOから挑戦できます。

2026年の第24回JJMOでは、灘中学校1年の池田達樹さんが銀賞を受賞しており、中1でも上位へ進める可能性が実例として示されています。数学オリンピック財団

ただし、JJMOは決して簡単な大会ではありません。

第24回予選は2,649人が参加し、6点以上の135人が本選受験有資格者となりました。資格者率は約5.1%で、0〜2点だった参加者は1,514人、約57.2%です。数学オリンピック財団

この数字から考えても、初めて挑戦する中1が「12問全部を解こう」と構える必要はありません。

まず一題を選ぶ。

小さな数で試す。

図や表を書く。

解説を見るなら答えではなく最初の一手を確認する。

数日後に、もう一度自分で解いてみる。

その繰り返しで十分です。

2026年8月19日時点では、第25回JJMOの個人申込期間は9月10日までで、予選は2026年11月15日に予定されています。中1も応募資格を満たしています。数学オリンピック財団+1

「中1だからまだ早いか」よりも、「一題だけでも考えてみたいと思えるか」を入口にしてみてください。

数学オリンピックの面白さは、知っている公式の数だけではありません。

分からない問題を前にして、自分で見方を探し始めるところから、すでに数学オリンピックは始まっています。


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よくある質問

数学オリンピックは中学1年生でも参加できますか?

はい。この記事で中心に扱った日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)は中学生以下が対象です。

第25回JJMOも、2026年11月時点で中学3年生以下が応募資格となっているため、中学1年生は参加できます。数学オリンピック財団

JJMOは中1で何問解ければすごいですか?

一律に「何問ならすごい」と決めることはできませんが、初参加ならまず1問を自力で解き切ることを目標にしてよいでしょう。

第24回では参加者の約57.2%が0〜2点で、本選資格となった6点以上は約5.1%でした。年度によって得点分布や通過点は変わるため、最初から本選通過点だけを基準にする必要はありません。数学オリンピック財団

中1の学校数学だけでJJMO予選を解けますか?

取り組める問題はありますが、学校で習った内容だけで12問すべてに対応するのは容易ではありません。

公式募集要項でも、前提知識は世界各国の中学校程度としながら、学校で学習する内容とは多少異なる問題も題材になると説明されています。数学オリンピック財団

未習の言葉が出たときは、必要な考え方だけを一つずつ補っていく方法で構いません。

中1なら数論・組合せ・幾何・代数のどれから始めるべきですか?

一律の正解はありませんが、約数・倍数・余りなどを扱う数論や、小さな場合を書き出せる組合せ論は、学校で未習の高度な公式に頼らず考え始めやすい題材があります。

ただし、入口が分かりやすいことと問題自体が易しいことは別です。実際の過去問を数題眺め、「問題文の意味が分かり、自分の手で何か試せそうな一題」を選ぶのがおすすめです。JJMOの主な出題分野は代数・組合せ論・幾何・数論の4分野とされています。数学オリンピック財団

執筆:天水健太郎(元行政職員・生涯学習コラムニスト)

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