この記事では弓の弦が切れたときに、その切れ弦で麻天鼠(マグスネ)、通称草鞋(ワラジ)と言われていますが、を作る方法を紹介します。
弦が切れたらゴミ箱に捨てていまうのではないでしょうか。麻弦ならもったいないので、中仕掛けの材料に取っておくのですが、合成弦だと使い道がないので捨ててしまうのが常です。
そんなときに切れ弦で麻天鼠(マグスネ)を作るのはいかがでしょうか。難しいことはありませんし、1時間もかからない作業ですので試してみてください。
切れ弦で麻天鼠(マグスネ)を作る方法
弦が切れるとこんな風になりますね。これは中仕掛けのところで切れています。通常はこのうち上の方が長いのでこちらで作ることになります。
上下の弦輪と中仕掛けのところは使わないので切り取ってしまいます。これで、2本の材料ができます。
小さい麻天鼠(マグスネ)なら、長いほうの切れ弦一本で出来上がります。
まずは、切れ弦でこのような丸をつくります。大きさは4~5㎝ぐらいの方が作りやすいでしょう。実用的にはもう少し大きいほうが良いのですが、あまり大きいと長いほうの切れ弦だけで完成しなくて、短いほうも足さなければいけなくなりますし、時間も長くなるので、慣れてから大きいのを作ることで良いのではないのでしょうか。写真の下側右側が弦の端になります。
次に上の丸の上にもう一つ同じ大きさの丸を作ります。この二つの丸の左からの順序を崩さないのが肝心なのです。
弦の一番手前にあるのが長いほうです。
①いよいよ編み込んでいきます。長いほうの弦を一番左の弦の後ろから、左から二番目の弦の前に出していきます。
②左側の2番目の弦の前に通した弦を、左から3番目の弦の後ろに通していきます。
③左から3番目の弦の後ろを通した弦を今度は左から4番目の弦の前に出るように通します。
④左から4番目の弦の前を通った弦は今度は外側を通って左から4番目の後ろを通って、左から3番目の弦の前を通します。
⑤左から3番目の前を通った弦は今度は左から2番目の弦の後ろを通します。
⑥左から1番目の弦の前を通して、外側から左側から1番目の弦を回って後ろから前に通します。
もう、大体要領はお分かりになってきたことと思います。①~⑥の作業を繰り返していくのです。
4,5回繰り返していくと、2重に巻いた弦も安定してきますので、次第に形を整えていきます。最初から形にこだわるとなかなか作業が進まないので、このぐらいの間に整えることです。
また、編み込んだ弦はバラバラにならないように下に押し込んで隙間を作らないようにするときれいに出来上がります。
ここまでくるとほぼ完成です。何とか形ができてきました。
これで完成です。
ついでに箱根細工のカラクリ体験やワラジ編み体験もありました。
高校の弓道部の時に切れた弦でよくつくっていたので懐かしくてやっみましたが・・
僕にはワラジ作りの才能はありませんでした(*´ー`*) pic.twitter.com/hILVgahyaV
— ひらまささん。 (@hiramasa1118) November 12, 2018
切れ弦で作った麻天鼠(マグスネ)がお守りになる
切れ弦で作った麻天鼠(マグスネ)は当然ですが、弦をこするにも使うことができます。麻天鼠(マグスネ)を二つに折って弦を挟んでこするだけですから、4、5㎝の大きさでも十分です。
実際は、それよりもお守りとして差し上げたりしています。ただし条件がありますので、これに該当しないことにはお守りとはみなされていません。
条件1 弦が中仕掛けのところで切れること。最近の弦は弦輪のところで切れることが多いのですが、このような場合はお守りになりません。
条件2 切れたときの射が的中すること。条件1よりも厳しいかもしれませんが、的中しなければいけません。
この条件に適合した場合に、安産のお守りとされています。いったいどのような理由かはわかりませんが、お知り合いで可能性がある方に差し上げてみてください。
ワラジ完成〜( ^ ^ )/□ 弓道の弦の手入れに、切れた弦で作ります〜(^_−)−⇒🎯🎯🎯 pic.twitter.com/gL4zCrh8IU
— nobyan (@nobyan_) March 30, 2013
弓道の切れ弦で作る麻天鼠(マグスネ)のまとめ
切れ弦で麻天鼠(マグスネ)を作る方法について紹介してきました。めんどくさいように思われますが、慣れれば30分もかからない作業ですので、無事に的中で、中仕掛けから切れた弦はせっせと作っています。自分で作ってもほとんど人にあげてしまうのが常ですが、何らかの話題作りにはなるでしょう。
1つだけ付け加えておきますと、麻天鼠(マグスネ)が正式名称ですが、一般的には草鞋(ワラジ)と呼ばれています。これは草鞋を編むときとほぼ同じ手順ですのでこう呼ばれたことによるものと推測しています。しかしながら、弓具に使うものを草鞋と称するのはいかがなものかと、浦上栄範士が何らかの記事で批判していたと思いますので、ご紹介しておきます。
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