数学オリンピックの中学生向け問題は、難しい公式の暗記より、条件を読み替えて「最初の一手」を見つける力が重要です。
中学生以下を対象とする日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)の仕組みと最新日程を整理し、中学生でも基本知識から考えられる2025年JMO予選3題を使って、72通り・44個・49個という答えに至る道筋を丁寧に解説します。
数学オリンピック中学生向け大会「JJMO」とは?2026年の参加条件を確認
中学生が数学オリンピックに挑戦するなら、まず知っておきたいのが日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)です。
JJMOは「Japan Junior Mathematical Olympiad」の略で、中学生以下を対象に、若い世代の数学的才能を発掘・育成する目的で行われています。第1回は2003年1月13日に開催され、第7回から予選・本選方式へ移行しました。さらに第24回から予選時期が見直され、11月の第3日曜日を原則とする日程になっています。数学オリンピック財団
この変更があるため、古い過去問を見ている方ほど年度を取り違えやすくなっています。
第24回と第25回JJMOの日付はなぜ分かりにくい?
第24回JJMOの予選は2025年11月16日にオンラインで行われ、本選は2026年2月11日に行われました。数学オリンピック財団の結果概要では第24回を「2026年」として整理しています。数学オリンピック財団+1
一方、2026年8月現在、これから参加を考える中学生が確認すべきなのは第25回JJMOです。
数学オリンピック財団が公表している第25回の予定は次のとおりです。数学オリンピック財団
項目 第25回JJMO
応募資格 2026年11月時点で中学3年生以下
個人申込期間 2026年7月1日~9月10日
個人受験料 4,000円
予選 2026年11月15日13時~16時
予選形式 オンライン・3時間・単答式12問
本選 2027年2月11日13時~17時
本選形式 会場実施・4時間・記述式5問
表彰 本選上位10名前後
代表選考合宿 JJMO受賞者の上位5名などが参加
2026年8月18日時点では、個人申込期間の途中です。申し込みを考えている場合は、9月10日までに決済を含めて手続きを完了する必要があります。また、応募者には財団発行の『JUNIOR math OLYMPIAN』2026年度版が送付されます。数学オリンピック財団
第25回JJMOは、2027年7月開催予定の第68回国際数学オリンピック・ハンガリー大会の日本代表候補選抜にもつながっています。数学オリンピック財団
JJMOでは何を勉強すればよい?
数学オリンピック財団が示す主な出題分野は、代数・組合せ論・幾何・数論です。
数列や方程式、数え上げ、合同・相似、円、約数・倍数、素数、合同式などが含まれます。公式の募集要項では、前提知識は世界各国の中学校程度とされる一方、学校の学習内容とは多少異なる題材も出題されると説明されています。数学オリンピック財団+1
ここは大切なところです。
「中学校程度の知識で解ける」と「中学校の定期テストと同じように解ける」は、まったく同じ意味ではありません。
たとえば素因数分解を知っていても、問題文のどこを見て「ここでは素因数分解を使おう」と判断するのかは教えてくれません。
数学オリンピックで難しいのは、計算そのものよりも、知っている知識の中から適切な道具を自分で選ぶ部分なのです。
JJMOの中学生向け問題はどれくらい難しい?通過点から見る実像
JJMOは中学生以下が対象ですが、学校の成績がよいだけで簡単に解ける大会ではありません。
学校の問題なら、「連立方程式の単元」「相似の単元」というように、使う道具がある程度見えています。
JJMOでは問題を読んだ段階では、
「偶奇を見るのか」
「最大の数から考えるのか」
「図形を補助線で分けるのか」
「素因数の指数を見るのか」
という入口さえ分からないことがあります。
その入口を発見すること自体が問題の一部なのです。
第24回JJMOは6点以上の135人が本選受験有資格者
難易度を見るうえで参考になるのが、第24回JJMO予選の得点分布です。
応募者2,921人のうち272人が欠席し、2,649人が受験しました。本選受験有資格者は135人で、12点満点中6点以上を取った受験者でした。数学オリンピック財団
受験者2,649人に対する135人の割合を計算すると、約5.1%です。
さらに興味深いのは、本選受験有資格者135人のうち、86人がちょうど6点だったことです。7点は34人、8点は7人、9点は4人、10点は3人、11点は1人で、12点は0人でした。数学オリンピック財団
つまり、第24回に限って見れば、予選突破者の多くも12問すべてを解いていたわけではありません。
これは初めて挑戦する中学生にとって重要な数字だと私は思います。
数学オリンピックという名前から、「12問全部解ける天才だけの大会」と想像してしまうかもしれません。しかし実際には、解ける問題を見極め、確実に積み上げる力も予選では大切だと分かります。
近年の本選受験有資格者の最低得点を見ると、第22回は7点、第23回は6点、第24回も6点でした。したがって「6問解けば毎年通過できる」という固定基準ではありません。数学オリンピック財団
過去問で最初に2問、3問しか解けなくても、それだけで向いていないとは言えません。
むしろ最初は、正答数よりも「どこまで自力で条件を整理できたか」を見たほうが、次につながる学習になります。
数学オリンピック中学生向け問題3題を解説|2025年JMO予選
ここから扱う3題は、JJMOそのものの問題ではなく、2025年1月13日に実施された第35回日本数学オリンピック(JMO)予選の第1問、第2問、第4問です。
この点は混同しないようにしてください。
公式問題ではJMO予選は3時間12問、答えのみを記入する形式でした。今回扱う3題の正答は、第1問が72通り、第2問が44個、第4問が49個です。数学オリンピック財団+1
JMOはJJMOとは別大会ですが、この3題は足し算、素因数分解、偶数・奇数、割り算の余りといった中学生にもなじみのある知識から入りやすく、数学オリンピック特有の「条件の使い方」を学ぶ教材として適しています。
問題文そのものは長く転載せず、内容を要約しながら考え方を組み直して説明します。
問題例1|六角形に1~7を置く問題はなぜ72通り?
第1問は、中央1個とその周囲6個、合計7個の正六角形のマスへ1から7を重複なく入れ、辺を共有する二つのマスの数の和がすべて10以下になる配置を数える問題です。回転や裏返しで一致しても別の配置として数えます。数学オリンピック財団
公式の答えは72通りです。数学オリンピック財団
この問題で、1から順番に置こうとしてはいけません。
最初に注目したいのは、条件が最も厳しい7です。
7と隣り合える数字を調べると、
7+1=8
7+2=9
7+3=10
までは条件を満たします。
ところが、
7+4=11
となるため、7は4、5、6とは隣り合えません。
つまり、7の隣に置けるのは1、2、3だけです。
もし7を中央へ置くと、周囲の6マスすべてが7と隣接します。しかし7と隣り合える数字は1、2、3の三つしかありません。
したがって、7を中央に置くことは不可能です。
7は必ず外周の6マスのどこかへ入ります。
ここで7の場所は、
6通り
です。
外周に置いた7には、中央の1マスと外周の左右2マス、合計3マスが隣接します。
そこには1、2、3を置くほかありません。
1、2、3を三つの場所へ並べる方法は、
3×2×1=6通り
です。
残った数字は4、5、6です。
これらは7から離れた外周3マスへ並ぶことになります。その3マスは外周に沿って連続しています。
ここで、
5+6=11
ですから、5と6を隣同士にはできません。
すると3マスの真ん中に入れられる数字は4しかありません。
両端へ5と6を置く順番が、
2通り
あります。
したがって全体は、
6×6×2=72通り
です。
この問題の核心は「場合の数の公式」ではありません。
自由度が最も小さい7から考えたことです。
小さい数字から試行錯誤すると多くの配置を調べることになりますが、7から始めると、隣の数字が1、2、3へ一気に絞られます。
私は組合せ問題を見るとき、まず「どの要素が一番動きにくいだろう」と考えるようにしています。
条件が厳しいものを先に固定する。
これは別の配置問題や数え上げでも使える、持ち運びのできる発想です。
問題例2|abcd=2025で答えが44個になるのはなぜ?
第2問では、正の整数a、b、c、dがあり、
abcd=2025
を満たします。
さらにab、bc、cd、daがすべて平方数になる組を数えます。公式の答えは44個です。数学オリンピック財団+1
まず2025を素因数分解します。
2025=3⁴×5²
です。
ここで思い出したい平方数の性質があります。
平方数を素因数分解すると、すべての素因数の指数が偶数になります。
たとえば3⁴×5²は平方数ですが、3³×5²は平方数ではありません。
そこで、a、b、c、dの中に含まれる3の指数を、
α、β、γ、δ
とします。
abが平方数なら、abに含まれる3の指数は、
α+β
ですから、これが偶数でなければなりません。
同様に、
β+γ
γ+δ
δ+α
もすべて偶数です。
二つの整数の和が偶数になるのは、偶数同士か奇数同士のときです。
したがってαとβは同じ偶奇、βとγも同じ偶奇、γとδも同じ偶奇になります。
結局、
α、β、γ、δはすべて偶数、またはすべて奇数
でなければなりません。
ここから3と5を別々に考えます。
#### 3の指数4をどう分ける?
3の指数は合計4です。
4人の指数がすべて偶数なら、
α=2x、β=2y、γ=2z、δ=2w
と書けます。
すると、
x+y+z+w=2
です。
0以上の整数四つで合計2を作る方法を数えます。
一人だけが2を持つ場合は4通りです。
二人が1ずつ持つ場合は、4人から2人を選ぶので6通りです。
したがって、
4+6=10通り
あります。
一方、α、β、γ、δがすべて奇数なら、合計を4にするには、
1、1、1、1
しかありません。
これは1通りです。
よって3の指数の分け方は、
10+1=11通り
になります。
#### 5の指数2はどう分ける?
5の指数は合計2です。
四つの指数をすべて奇数にすると、最低でも、
1+1+1+1=4
となるため不可能です。
したがってすべて偶数です。
合計2になる偶数四つは、
2、0、0、0
を並べ替える場合しかありません。
指数2をa、b、c、dのどこへ与えるかで、
4通り
あります。
3について11通り、5について4通りあり、この二つの選び方を組み合わせるとa、b、c、dが決まります。
したがって、
11×4=44個
です。
この問題では、a、b、c、dそのものを片端から探してはいません。
「平方数」という条件を「素因数の指数が偶数」という条件へ翻訳したことが決め手です。
難しい問題文を見たら、その言葉のまま考え続ける必要はありません。
「別の表現にすると単純にならないだろうか」と考える習慣は、数論で非常に役立ちます。
問題例3|2・3・4・5・6で割った余りが違う整数はなぜ49個?
第4問は、1以上1000以下の整数のうち、2、3、4、5、6で割った五つの余りが、どの二つを取っても異なる整数を数える問題です。
公式の答えは49個です。数学オリンピック財団+1
1000個すべてを調べる必要はありません。
最初に偶数と奇数へ分けます。
#### 偶数の場合
xが偶数なら、2で割った余りは、
0
です。
4で割った余りも偶数なので0か2ですが、余り0はすでに使っています。
したがって、
4で割った余りは2
です。
6で割った余りも偶数なので0、2、4のいずれかです。
0と2はもう使えないため、
6で割った余りは4
となります。
6で割って4余る整数は、3で割れば1余ります。
したがって、
3で割った余りは1
です。
ここまでに余り0、1、2、4を使いました。
5で割った余りは0から4なので、残っているのは、
3
だけです。
つまり偶数の場合、
4で割ると2余り、6で割ると4余り、5で割ると3余る
必要があります。
4と6の条件をまとめると、
x=12n+10
と書けます。
これを5で割った余りが3になるようにすると、nは5で割って4余る形になります。
その結果、
x=60m+58
です。
1以上1000以下では、
58、118、178、……、958
となり、16個あります。
#### 奇数の場合
xが奇数なら、2で割った余りは、
1
です。
4で割った余りは1か3ですが、1はすでに使っているので、
3
です。
6で割った余りは1、3、5のいずれかです。
1と3は使えないため、
5
になります。
6で5余る整数を3で割れば、余りは2です。
したがって、3で割った余りは、
2
です。
ここまでに1、2、3、5を使いました。
5で割った余りとして選べる0、1、2、3、4のうち、重ならないのは、
0または4
です。
4で3余り、6で5余る奇数は、
x=12n+11
と書けます。
ここへ5で割って0余る条件を加えると、
x=60m+35
となります。
35、95、155、……、995
なので、17個です。
一方、5で割って4余る場合は、
x=60m+59
となります。
59、119、179、……、959
なので、16個です。
したがって合計は、
16+17+16=49個
になります。
この問題で覚えたいのは「60」という答えではありません。
2で割った余りから始め、4、6、3、5へと条件を一つずつ固定した順序です。
五つの条件を最初から同時に処理しようとすると複雑に見えます。
ところが偶数か奇数かを先に決めると、使えない余りが次々に消えていきます。
難しい条件ほど、一度に全部を見るのではなく、強い条件から順番に確定する。
これも数学オリンピックで何度も出会う考え方です。
JJMO過去問はどう勉強する?中学生向けの取り組み方
数学オリンピックの解説を読むと、「読めば分かるのに、自分では思いつかなかった」と感じることがあります。
私は、ここで落ち込む必要はないと考えています。
今回の3題だけでも、最初の一手はそれぞれ違いました。
- 六角形の問題:最も条件が厳しい7から考える
- 2025の問題:平方数を素因数の指数の偶奇へ読み替える
- 余りの問題:偶数・奇数から始めて余りを順番に固定する
- 解説を読んだ後:答えではなく最初の一手を一行で残す
- 翌日:何も見ず、白紙からもう一度再現する
この「最初の一手」を残す方法は、私が初心者に特に勧めたい勉強法です。
六角形の問題なら、ノートに「答え72通り」とだけ書くのではありません。
「7は隣に置ける数が少ないので、7の位置から固定する」
と書いておきます。
第2問なら、
「平方数を見たら、素因数の指数の偶奇を考える」
です。
第4問なら、
「2・4・6は偶奇がつながっているので、2の余りから決める」
と残します。
答えの72、44、49は、その問題でしか使えません。
しかし「条件の厳しいものから固定する」「別の表現へ翻訳する」「偶奇で場合分けする」という発想は、別の問題でも使えます。
過去問学習とは、答えを集めることではなく、発想を集めることだと考えると取り組みやすくなります。
最初から3時間通して解かなくてもよい
JJMO予選の本番は3時間12問ですが、初めから毎回3時間を確保する必要はありません。2026年の第25回も3時間12問の単答式で実施される予定です。数学オリンピック財団
初心者であれば、私はまず一問につき20~30分ほど考える方法を勧めます。
これは大会の公式ルールではなく、あくまで学習方法としての私見です。
何も進まなければ解説を読みますが、その前に、
「何までは分かったか」
「どの条件を使えなかったか」
を一度書いておきます。
そのうえで解説を読み、翌日にもう一度解きます。
二度目に確認したいのは答えを覚えているかではありません。
「なぜ7から始めるのか」
「11通りをどう数えるのか」
「なぜ60m+58になるのか」
を自分の言葉で説明できるかです。
説明できれば、その問題で使われた考え方が少しずつ自分のものになっています。
予選と本選では鍛える力が違う
JJMO予選は答えだけを問う12問ですが、本選は4時間で5問の記述式で、証明を要求する問題です。数学オリンピック財団
したがって、
予選では「発想を見つけて答えまで運ぶ力」、本選では「その発想が正しい理由を他人に伝える力」
がより強く求められると考えられます。
本選を目指す段階になったら、計算結果だけを書く癖から少しずつ離れましょう。
たとえば「7は中央に置けない」と書くだけではなく、
「中央に置くと6個のマスに隣接するが、7と和が10以下になる数字は1、2、3の三つしかないため不可能」
と理由まで書きます。
保護者の方が数学に詳しくなくても、
「なぜそう言えるの?」
「ほかの場合はない?」
と尋ねるだけで、説明する練習になります。
答えを教える役になる必要はありません。
中学生に先取り学習は必要?2025年IMOの実例から考える
数学オリンピックと聞くと、「中学生のうちに高校数学をどんどん先取りしなければならないのでは」と考える方もいるでしょう。
知識が増えれば使える道具が増えるのは確かです。
しかし今回取り上げた3題では、中心になったのは高度な微分積分でも難しい公式でもありません。
足し算、素因数分解、偶奇、割り算の余りなど、知識そのものは比較的基本的でした。
難しかったのは、
「どの知識を、どの条件に対して使うのか」
という判断です。
私は、ここに数学オリンピック学習の重要な特徴があると考えています。
学校では「素因数分解ができるか」を練習します。
数学オリンピックでは、その一歩先にある、
「平方数という言葉を見て、素因数の指数に置き換えられるか」
まで試されます。
これは単純な先取り学習とは少し違います。
知識の量を増やすだけでなく、すでに持っている知識同士のつながりを増やす学習です。
2025年IMOでは中学2年生も日本代表に
中学生でもさらに先の数学へ挑戦できる実例として、2025年の第66回国際数学オリンピックがあります。
大会は2025年7月10日から20日までオーストラリア・サンシャインコーストで開催され、110か国・地域から630人が参加しました。日本代表6人は金メダル3人、銀メダル2人、銅メダル1人を獲得し、日本は国別4位でした。数学オリンピック財団
長野県松本深志高等学校3年だった狩野慧志さんは42点満点を獲得し、世界1位となりました。
さらに、灘中学校2年だった伊勢戸皓太さんも日本代表として出場し、銅メダルを獲得しています。数学オリンピック財団
もちろん、JJMOを初めて解く中学生が、国際大会の代表選手と自分を比べる必要はありません。
注目したいのは、中学生の段階から「授業で習った方法を再現する数学」だけでなく、自分で方針を発見する数学へ進める道が用意されていることです。
ここからは私見です。
長年、私は学びを続ける中で、基礎というものは「一度終えたら卒業する段階」ではなく、何度も戻って使い方を深める場所だと感じてきました。
今回の三つの問題も同じです。
足し算そのものは難しくなくても、「7と隣り合える数を調べる」という使い方になると、新しい意味を持ちます。
素因数分解も、計算問題ではなく「平方数の正体を見る道具」として使われています。
偶数・奇数も、単なる分類ではなく、五種類の余りを整理する入口になっています。
同じ基礎知識でも、置かれた場所が変わると役割が変わる。
私は、この経験こそ数学オリンピックに取り組む大きな価値の一つだと考えています。
「今日は一問も完答できなかった」と数えるより、
「今日は条件の厳しいものから見る方法を知った」
「平方数を指数へ読み替えられるようになった」
という変化を見るほうが、長い目では有益です。
第24回JJMOの得点分布を見ても、本選受験有資格者135人のうち86人が6点でした。数学オリンピック財団
すべて解くことだけが前進ではありません。
一問ごとに発想を一つ持ち帰る。
その積み重ねが、初めて見る問題に対する選択肢を少しずつ増やしていくのだと思います。
まとめ|数学オリンピック中学生向け問題は「条件の読み替え」が鍵
数学オリンピックの中学生向け大会であるJJMOは、中学生以下を対象とし、現在は予選がオンラインの3時間12問、本選が会場で行う4時間5問の記述式という構成です。第25回予選は2026年11月15日、本選は2027年2月11日に予定されています。数学オリンピック財団
今回解説した2025年JMO予選の3題では、答えはそれぞれ72通り、44個、49個でした。数学オリンピック財団
しかし、覚えておきたいのは三つの数字ではありません。
第1問では、条件が最も厳しい7から固定する。
第2問では、平方数を素因数の指数の偶奇へ翻訳する。
第4問では、偶奇を入口に余りを順番に固定する。
三題に共通しているのは、問題を与えられた形のまま力ずくで処理していないことです。
条件を読み替え、扱いやすい形へ小さくしている。
ここが数学オリンピック問題を解くうえで大切な視点です。
初めて過去問に取り組むなら、一問を20~30分考え、解説を読んだ後に「最初の一手」を一行だけ残してみてください。
そして翌日、白紙からもう一度考えます。
正解を再現するだけでなく、「なぜその一手を選ぶのか」を説明できれば、昨日より確実に一歩進んでいます。
急いで難しい公式を集めるより、基本的な知識を別の角度から使う経験を重ねること。
中学生がJJMOや数学オリンピックの過去問へ向き合うとき、私はまずそこから始めるのがよいと考えています。
よくある質問
数学オリンピックは中学生でも参加できますか?
はい。日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)は中学生以下を対象としています。
第25回JJMOは、2026年11月時点で中学3年生以下であることが応募資格です。個人申込期間は2026年7月1日から9月10日までとされています。数学オリンピック財団
JJMO予選は何問解けば本選へ進めますか?
固定された「合格点」はありません。
第24回JJMOでは12点満点中6点以上の135人が本選受験有資格者でしたが、第22回は7点以上でした。問題の難易度や受験者の成績によって変わるため、「6問正解すれば毎年通過できる」とは考えないほうがよいでしょう。数学オリンピック財団+1
中学生は数学オリンピックの過去問をどこから始めればよいですか?
まずはJJMO予選の過去問から、条件を理解できそうな問題を一問ずつ選ぶ方法が取り組みやすいでしょう。
数学オリンピック財団は過去のJJMO予選・本選問題を公式サイトで公開しており、JJMO応募者へ送付される『JUNIOR math OLYMPIAN』には前年に実施された問題と解答も掲載されています。数学オリンピック財団
最初から正答数だけを追わず、解説を読んだ後に「この問題の最初の一手は何だったか」を一行で残し、翌日に何も見ず再挑戦する方法がおすすめです。
執筆:天水健太郎(元行政職員・生涯学習コラムニスト)


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