ツルネ アニメ第2期第5話から押し引きの関係の感想

弓道

ツルネ アニメ第2期第5話は「押し手、引い手」でしたね。小野木海斗と如月七緒の従兄弟同士で、幼い頃からずっと一緒だった関係が、微妙に変わってきた状況でした。

この中で、小野木の積極性、如月の柔軟性が好対照で、二人の関係がうまくかみ合っていたのが、ずれてくるのです。今回はこの中から、押し引きの関係について解説します。

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一般の人が弓を引くときにどのようになるのか

弓道で一般に「押し引きの関係」を強調されるのは引き分けの時です。引き分けは弓を引くという言葉の通り、「引く」ことが主眼になってしまいます。

全くの初心者に弓を引かせると思いっきり引く動作をすることは見慣れているでしょう。このため、大抵は矢は上の方を向いて降りてくる状況になっているはずです。

こんな動作を俗な表現では「鳥打ち」と言っていますよね。まるで空中の鳥を狙うような感じだからでしょう。

的は28m先のやや下についていますし。これに向かって水平に離すのが原則ですから、矢は本当は地面に平行に降りてこなければいけないのです。

こんなことわかっていると言っても、参段ぐらいまでの方のなかには上を向いていることが見かけられます。これは、初心者の頃の弓を引く動作の記憶が残っているのでしょう。

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弓道での引き分けでの解説では

教本には「腰を中心とし、息合いと協応して、ゆったりと静かに、遅速なく、水の低きに流れるように左右均等に引き分けなければならない」としています。

このためには、自然におこなってしまう弓を引くという動作に対して、弓手を押していく動作を意識的に強調する必要があるのです。どうしても引く力は強いし、慣れている動作ですから、押すという動作を意識しすぎることはないのです。

この関係を「押し引き一如」という言葉で表現している場合もあります。弓を引く動作の中でも弓を押す動作を忘れずにということです。

吉見順正の射法訓の中にも「弓手三分の二弦を推し、馬手三分の一弓を引き」という部分がありますが、これもやはり弓手の押す動作の重要性を示しています。このように弓を押すという動作は忘れることができないし、協調してもしすぎることはないのです。

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押し引きの関係は引き分けだけではありません

ここらあたりまでは、教本を丹念に読んでいけばたどり着くことなのですが、押し引きの関係は引き分けだけにとどまらないのです。そして、最も大切な離れの時にも、大きく影響してくるのです。

離れの時に弓手、馬手どちらから離しますか。教科書的には胸の中筋から離れるとされていますが、そんなことは、なかなかできるものではありません。これも、丹念に弓を引いている方を見ていくとわかるのですが、大部分の方が馬手で離しているのです。

それはそうでしょう。最初に習ったときには、とにかく弦がはずれるのが怖くて握りしめています。そんな状態ですから、そこから離そうと思えば、馬手の指をひろげて離すしか方法がないのです。

その状態からだんだん慣れて行って、恐怖感がなくなってきますが、基本的なメカニズムは変わりませんから、馬手を中心に離すことになります。

この方法の問題点は、圧倒的に馬手の力、離す力が強いため、弓手が負けてしまうことです。そのほか最初の問題点が解消されたとしても、弽の指を開く動作により矢の軌道が影響を受けてしまうのです。

このために、離れに際しても弓を押す力を強調しすぎてもしすぎることはないのです。しかも厄介なことに大部分の人が右利きですので、馬手の力は黙っていても弓手の倍程度は軽く出てしまいます。このため、弓手の押しを倍ぐらいにしたつもりでも、案外バランスがとれているのです。

ここらあたりの解説は次の記事に詳しく書いてありますので、ご覧ください。

弓道の離れはどう離す。弓手先行と馬手先行の考え方 | 天水仙の蛙奏美(a-so-bi) (tensuisen.com)

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ツルネ アニメ第2期第5話から押し引きの関係の感想のまとめ

ツルネの第5話「押し手、引い手」から押し引きの関係について考えてみました。この押し引きの関係は引き分けだけではなく、射で最も大切な「離れ」においても重要な働きを演じることになるのです。

初心者の方の射を見ていると、離れた後弓手が下がってしまう方がたくさん見られますが、それほど弓手には力が入らないのです。一方の馬手が下がる人が少ないのと対照的です。ぜひ、この機会に弓手の重要性について気づいていただければ幸いです。

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