弓道で離れがうまくいかない原因と改善方法

弓道の射技射法

弓道を実践していて一番難しく、結果も出てしまうのが、離れです。それまでの足踏み、胴造りからなる一連の流れが良くても、離れで失敗しては何にもなりません。結果も出ません。

逆に考えたくはないでしょうが、それまでの内容が悪くても、離れさえよければ的中してしまいます。決して良いことではありませんが。

この離れの考え方をやさしく身に着けるかを考え方を中心に私なりに紹介したいと思います。

 

スポンサーリンク

離れが上手くいかない2つの原因

離れの意識がうまくいかないのは2つの相反する原因があると考えます。

一つは、会を意識しすぎることです。射法八節で会は一つの段階ですが、引き分けから会の状態に連続して入っていき、その延長で離れになるのが正解なのです。

それを射法八節で口割に就いたら「」と言って、そこで何秒かとどまる時間を作る方が多いのです。

もっとも、これはどこの弓道教室もそうですが、最初からゴム弓を引くときもそんな指導をしていましたので、「会」というものを一つの「動作又は状態」と考えてしまうことにあります。

「会」の次は「離れ」ですので、離れを自分で作ることになります。

このため引き分けの力の方向と大きさが、会の力の方向と大きさにずれが生じます。前離れ、すくい離れ、前離れ、離れの大きい、小さい、などの問題が生じやすくなります。

二つ目は、会の動作を意識できない人です。いわゆる早気です。この場合、引き分けから連続して、小さな会、離れと連続して動作が起こるので離れの方向とか大きさの問題は生じにくいと考えられます。

ただし、早気も口割までいかないうちに離れてしまうとすれば、問題外です。

このように二つの異なるパターンがあるので、一緒に議論しても仕方がありません。二つ目の事象は早気の解消問題です。

世の中には多くの解決方法が提示されているので、そちらに紙面を譲ります。私自身も早気にはなったことがないので、解説者としては不向きです。

弓道一覧の射法・射技へはここをクリック

スポンサーリンク

問題のある「会」の意識を改善しよう:離れまでの意識

一つ目の問題点は、会の意識が強すぎることに原因があります。会で動作が止まってしまって、単に何秒か保つところに、失敗の本質があるのではないでしょうか。

もっとも共通の教え方でも「会」という項目を設けて教えているのでそうなることももっともでしょう。

悪いことにこの状態で何秒持ったなどと褒めたり、自慢したりしているので余計に「会」を意識するようになります。

通常の考え方

引き分け、引き分け、会、詰め合いをチェック、伸び合って、何秒か保って、離れ

ここで問題は会、詰め合いの部分です。この考え方ですとせっかく引き分けで的方向に力の方向を合わせているのに、会だと意識したとたんに、動きが止まってしまいます。

そこから、伸び合いを作っても、引き分けの方向とは微妙に異なるでしょう。力の方向が変わってしまうことになります。

初心者の考え方

引き分け、引き分け、会、何秒か保って、離れ

この引き方になれば、完全に引き分けのときの力の方向と、離れが全く別物になるので、相当問題が生じてしまいます。

中には、離れのときが、引き分けよりも強い離れが生じてしまいます。こういう方が意外と多くいるのです。

10㎏程度の弓力なのに、思いっきりの大離れというなんだか変な感じがする射も出てきてしまいます。これは、実は初心者の人には、離れの動作を教えていないことが原因でもあるのです。

最初にゴム弓を持たせて、1,2,3、と数えて思いっきり放せという指導をすることになります。最初の頃は離せないのでこれでもよいのですが、的前に立つようになればこれでは引きちぎりになってしまいます。離れには後で示すような離れのテクニックがあるのです

弓道での「会」からの新しい考え方

私はこのように考えたほうが良いと考えます。

引き分け、引き分け、伸び合い、伸び合い、伸び合い、離れ

これにより、会を意識することで、動作と力の方向が変わってしまうことを避けることができると考えます。

弓道一覧の射法・射技へはここをクリック

スポンサーリンク

問題点や疑問に対する具体的なアドバイス

この考え方に変えた場合に次のような疑問を持つことになると思います。

早気になってしまうのではないか。何秒持てばよいのか。

これにも問題はあります。使い方によれば、早気に変わってしまいます。一つの伸び合いに2秒程度の認識でいけばよい射になると思います。

そして最後の離れは引き分けの力を変えずにできる(離れ)であるべきで、そのままの方向、力の流れを保ったまま離れることを理想とします。

会で何秒もてばよいのか

この考え方は、会という状態を意識しない方法です。従って、「会」1秒、2秒、3秒・・・と考えることを否定するのです。どうしても会という時点を意識することで動きが止まってしまうことの弊害が大きいのです。

それでもというのであれば、通常の「会」を一つの通過点と考えその先にも引き分けがあるとお考えいただく方法もあります。私はそんな感じだと思っています。

そもそも何秒持ったかを競うようになっておかしくなったのです。本来であれば4秒もあれば十分で、6秒までぐらいが限度と言われています。それを8秒だの10秒だのと誇るようになってからおかしくなったのです。

詰め合いの確認はとれるのか

詰め合いが確認できないのではと思われるかもしれませんが、本当は会に入ってから詰め合いを確認してしまうと、その動作で、引いていく力が戻ってしまいます

本来は、詰め合いは引き分けの時点でも出来ている必要があるでしょう。

会の構成条件ではあるものの、その時点で確認して詰め合うというのでは、射形が変わってしまう恐れがあります。

詰め合いは其れまでに出来上がっているように練習すべきです。

伸び合いができないのではないか

伸び合いについては問題ないでしょう。この中で伸び合い、伸び合い、伸び合いの動作をどのくらい細かくしていけるかが問題でしょう。

引き分けと同じ速度で伸び合ったら台無しになります。

つまり引き分けの最終段階から引き合う速度がだんだん少なくなって、一秒1㎜、2㎜ぐらいの単位で伸びていくことの繊細さが必要です。

スポンサーリンク

弓道での離れを向上させるための技術:離れの成功に向けた意識と無意識の調和

最期に、これで本当に離れるのかが、大問題になるでしょう。これは意識の問題というよりは、馬手の手の内がしっかりできていて、馬手の手首、指の力が抜けて肘で引けているかにかかっています。

意識も大切ですが、技術の問題も入ってきます。

細かく説明すれば、馬手の親指に掛かった弦の力が親指を押して三つがけなら中指を押していきます。

そして親指の伸びによって、馬手に外側に回転する力が働きます。

これにより弦道の深いところから浅いところに引っ掛かりが移って、離れることになるのです。ここを意識して感じ取れるかどうかです。感じ取れなければ、それを想像して外側に回転させる動作をしてみることも必要です。指導者によっては指パッチンをさせている方もあります。

指導書の中には、馬手を張って、肘で引いて、離れの際に馬手を外側に回転させることを推奨しているものもあります。

これらは意識と無意識の差でしょうが、慣れてくると案外無意識にこの動作をしているのかもしれません。

弓道一覧の射法・射技へはここをクリック

スポンサーリンク

結論:離れを克服し、弓道の技術を向上させよう

弓道において離れはとても難しい問題です。ほんの一瞬の動作ですし、この動作に意識、無意識の問題が混在しています。

更には、意識、無意識に織り込む技術の問題も絡んできます。そして、結果は絶対です。

実際に審査会場で見ていれば、この離れについて驚くほどの問題点が見えてきます。

すべては、数年間も練習すれば身に付くようなシンプルな動作ですが、いざとなるとできていないのは皆さんもご承知の通りです。私もその一人ですが。

この原因についていろいろ考えていくとどうしても「会」という一点に問題があると考えました。

この「会」という静止の状態があると考えること、また、そのように教えることからすべてが狂ってくるのではないかという気がしております。

皆様の練習に少しでも考え方の変化を取り入れることができれば幸いです。

弓道一覧へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました