2021年2月の弓道誌をご覧いただけたでしょうか。もし手元にないなら、ぜひ入手するようにしてください。この中に、唐沢光太郎範士の馬手の手の内の説明が記載されています。
私が今まで読んだ記事の中で最もわかりやすい解説です。この解説に沿った手の内の作り方を実践してみました。そうするといろんなことが変わってきます。
弓道の弓構えで取懸けの方法の唐沢光太郎範士の説明
馬手の手の内の親指の横方向の位置については、このサイトの取懸けの仕方で、ご照会してきましたのでご覧いただければ幸いです。
私が安心したのは、この記事と私の解説がほとんど矛盾しないことです。違っていたら、再度考え直して、記事の内容を書き換えなければいけないのかなと思い、丹念に読んでみましたが、心配しないで済んでほっとしています。
唐沢範士の解説は、例えば三つがけであれば親指の帽子を中指のどの位置にかけていくかという問題です。
今回の唐沢範士の指摘では、馬手を握るということは、どういうことかから始まっています。
その前に、一つ前提を直していかなければなりません。現在の人体の解説では、手の第一関節は手の先から第一、第二、第三と数えていくのが常識とされています。
ところが、唐沢範士の記事もそうなのですが、多くの古い解説本では逆で手首側から第一、第二、第三と数えて解説しています。
ここを取り違えると全く分からなくなりますので、少し変だなと思ったらこの点を疑ってみてください。
手の平を下に向けてよく観察してみます。そこで握るという動作をするとどこが動くでしょう。
まず、第一関節、これを単独に動かせる人は少ないと思いますが。それにつられて第二関節、そして第三関節の順番ですよね。力の源泉は第三関節を動かす筋肉になります。
解説の中では、馬手の握り方を①持つ手の内、②つまむ手の内、③指を懸ける(鈎の)手の内の三種類に分けています。
持つ手の内
持つ手の内は何の作用もしない普通に持った時に生じます。
この時手のひらを横から見ていくと、甲の第三関節のでっぱりを中心に手のひらと指が角度をなしていることがわかります。
これがものを掴む、第三関節のところの屈筋を使うので、悪い影響があるとするものです。大部分の初心者に起こる現象としています。
つまむ手の内
次につまむ手の内です。第一、第二関節はなるべく真っすぐにして。第三関節のところの筋肉だけで、親指を押さえる形です。これは、時々見かける手の内ですね。
この手の打ちも、横から見ると、甲の第三関節のでっぱりを中心に折れていることがわかります。これも屈筋を使うので、自然の離れに影響を与えることになります。
指を懸ける(鈎の)手の内
唐沢範士推奨の手の内は、三番目の指を懸ける(鈎の)手の内です。これは、手の甲の第三関節になるべく角度をつけずに、第一、第二で鈎の手を作る形です。
これにより屈筋の働きがなくなるとしており、離れが良くなると主張しています。細かいことを言えば第一、第二もある程度の屈筋を使うのではないかと思うのですが。
また、親指と中指の考え方も違います。親指は弦にひかれて伸びていくので、子の鈎の手の第一、第二関節に食い込んでくると主張されているようです。
指を懸ける(鈎の)手の内を実践してみるとどのようになるか
弽をつけて手の甲の第三関節に角度をつけないように第一、第二関節で鈎の手を作ります。この時親指を中指のどの位置に当てるかが問題となります。
前回の私の記事の解説では、第一関節と第二関節の間にかけられるのですが、この鈎の手の内を実践するとどうしても第二関節のところまで行きません。
せいぜい第一関節、下手すればそこまでいきません。これはちょっと怖いかなという感じです。
でも前回の取懸けの見直しによって、浅く懸けることの恐怖心はほとんどなくなってきましたので、それほど怖いことはありませんでした。
それでは引いてみましょう。
しっかり馬手の捻りが効いていれば、暴発することもありませんし、怖いという意識もありませんでした。
離れの感じも良いようです。とりあえず成功と考えましょう。
あとは、親指が弦にひかれて、中指の第一関節の先に食い込んでくる感触をどのように感じることができるかが課題です。
まだ押さえる力が強いため、あまり感じることができないのですが、徐々に慣れてくるかと思います。
弓道の弓構えで取懸けの方法を唐沢光太郎範士の方法で実践するのまとめ
2021年1月号の弓道誌から唐沢光太郎範士の過去の解説が掲載されるようになりました。
唐沢範士の著書「弓道読本」については、名著としての評判が大変高い本です。
私も数年前に図書館で借りて読んだことはあったのですが、いざ手に入れようと思うと、法外な値段がついてしまってとても手が出ません。
そんな中、今回の解説については、その内容を推測するに十分な内容が記載されていました。いままで、親指の帽子の先を中指にあてるところまでは修正ができていました。
それを前提として、その帽子の先を中指の第一関節の先、第一関節、第一関節と第二関節の間のどの位置にあてるべきかがわからず、いくつか本を読んでみましたが解決できませんでした。
今回弓手の第三関節を中心とする角度を作らないことをまず考えて、それから帽子の位置を決めていくということになりました。
これによって、とりあえず馬手の手の内については、ほぼ出来上がったと考えられるようになりました。
今後は、実践の中で、全体の力を抜いてスムーズにできるように練習したいと思います。
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