弓道の初心者に適切な弓の強さは?最初は弱めで型の習得を

弓道の道具、衣装

弓道教室に入ると、しばらくは弓を持たない練習で型の練習をします。それが終わると、教室に備え付けの弓で素引きをしたりします。

その時、どの程度の弓力の弓を使えばいいのでしょうか。人それぞれ体力、腕力が違いますから、本当はその人に合わせて考えなければいけないのです。

また、自分で弓を購入する段階になりますと、特に大人の男性は、それなりのステータスが邪魔をして、できるだけ強い弓が引きたいという欲望が出てきます。

だって、何度も買い替えるのはもったいないし。大は小を兼ねるという考えもあるし。そのほうが恰好いいでしょうし、強さの象徴でもありますからね。

でも、「射形を崩すから、弱い弓にするべきたり。」との意見も聞かれます。ある意味これも正解です。このように、様々な意見が出て迷うことになります。

そこで私なりの考え方を、段階的に、ご説明することにします。

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弓道初心者におススメする弓の弓力の選び方

本当に最初の段階では、はっきり言って弱ければ弱いほど良いと考えます。本来、教室は型を覚えるところです。

型を最初に身に着けるのが先で、型を維持しながら、弓力、体力を上げていくべきです。

普通に行われてしまう弓力の選び方

正しく言えば自分の引き尺で考えるのですが、まだその人の引き尺の概念も定まりません。

身長165㎝以下の方は並寸と言って85㎝引いた時の弓力表示の弓を渡されます。

それより背の高い方は、二寸伸びと言って90㎝引いた時の弓力表示のもの、身長180㎝以上の方は四寸伸びと言って95㎝引いた時の弓力表示のものから選ぶのが普通です。

大体8㎏ぐらいから13kgが備え付けの弓の大半です。普通の人は、見栄もあるのでなるべく強い弓を持ちたがります。特に男子は。

せいぜい12㎏や13㎏の弓力ですから、どんな方でも引くことは引けるのです。例えば弓手と言って左手を突っ張ってみてください。

右手は強力ですから、それ以上の弓力でも右手だけで引くことはできます。でもそれは弓道の形ではないのです。

おススメする正しい弓力の見極め方

最大限に引き分けたときに、これも実は難しいので、人に見てもらう必要があります。その上で、左肘を伸ばしたり、少し曲げたりすることができることを確認してください。

そして曲げた状態で数秒間保持できる程度が良いのです。

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正しい型をつくるために弓力を見直すようになった理由

弓道教本とか古の高段者の写真を見てください。道場にも備え付けてあるでしょう。このところで見てほしいのは、弓手(左手のことです)の肘です。

まっすぐではなく少し角度がついているはずです。当然でしょう。

平面図で見れば、胴体から的方向に二の腕が出て弓の力を肩で受けています。矢は顔で遮られていますから、前腕は肘から少し前に傾きます。

立面図で見れば、胴体から的方向に二の腕が出て、矢は口のラインですから、前腕は肘から少し上がる方向になります。

このように、二の腕は胴体から的方向に、前腕は10度ぐらいの角度がついて、前上に向かうのが正しい姿です。この形が取れることが大事なのです。

このために、左の肘が突っ張って胴体から腕が斜めに出ていくようでは、最初のところで失敗しているようなものです。

この型を覚えるためには、最初は一番弱い弓からスタートして型を作るほうが良いのです。

私が弓道を始めたころは、こんなこと考えてもいませんでした。幸か不幸か私は年の割には力が強いので、大方の人がするように与えられた弓の中で一番強いのを引いていました。

でも、そのうち写真を見るとなんとなく昔の高段者と違うことがわかってきました。それでも誰も何の指摘もされませんでしたから、これも個性かと考えていました。

そのうち、離れの段階になって、高段者の離れでは、二の腕はほとんど動かず、角度のついている肘から先が矢を放つとともに二の腕とほぼ一直線になります。

ところが、私の射では、肘が突っ張っていますので、二の腕の付け根から腕全体が動いています。大体がオーバーアクションになります。

なぜなら、前腕だけではなく二の腕までも動くので、的の方向では停まらず、更に後ろ方向まで開いてしまいます。まあ、迫力があるといえば、言えますが。

20年間なんとなく変だと思いながら続けていましたが、ここらについて、もう一度考え直したときに、この肘のためがいかに重要かがわかるようになってきたのです。

ずいぶん遠回りしたと思っています。

また、特に強い弓を引いた時、弓の力が強いため会の段階で既に肘と肩が伸び切ってしまいます。精一杯頑張っている状態です。

この状態から、伸び切ってしまったものは、それ以上伸びることができません

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いつまでも弱い弓で練習するのでしょうか

そんなこと言ってません。この形ができて余裕ができたら、次に1㎏あげて行けばいいのです。21日間の法則と言って、この期間継続すればそれが固定されるそうです。

毎日確かめられるなら、21日ごと、お休みが入るなら、2、3ヵ月ごとに弓を交換していけばよいと考えています。

教室は腕力を自慢するところではありません。教室にある程度の弓の弓力では何の自慢にもなりません。本当に強いといわれるのは20㎏以上です。それでも戦前では当たり前のレベルでした。

同じように的に中ることも教室の段階では、どうでも良いのです。

それよりも、引く時の型をどうやって身に着けるかのほうが重要です。ということで、自分の型を見て、できていることを確認しながら徐々に弓力を上げていくことをおススメします。

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弓道初心者が弓を買うときはどうすればよいのか

本当は三段になるぐらいまでは可能な限り借り物の弓を使うのが良いと思っていますが、どうしても欲しくなるものです。

弓を最初に買うときは大抵、グラス弓になります。たまにカーボン弓を買われる方もいるでしょう。取り扱いに注意する必要もないし。破損もほとんどありません。

基本、工業製品なので、竹弓のように、一張毎に形が違うこともありません。季節によって型が狂ってくることもないでしょうから、メンテナンスも気にする必要はありません。

違うのは弓力だけです。

でも買うときは、念のため教室の先生について行ってもらったほうが、踏ん切りがつくし。引いた時の形も見てもらえますので、よろしいかと思います。

さて、弓力ですが

教室又は人から借りていた弓の弓力ぐらいでよろしいかと思います。

多分同じキロ数の弓を引いたとしても、教室の弓は相当年数がたっているものが多いため、大分くたびれています。従って同じキロ数でも、引いたとたんに、ちょっと強いかなと思うことが多いと思います。

それも感じないようだと、実はかなりハイになった状態ですので、いわゆるリキが入った感じになっていると思います。

いったん家に帰ってみると、意外と強くて苦労することもあります。

でもどうしても弱いのは嫌だというなら。最初に述べた型を意識してできる範囲ですので、自分の経験値+1、2㎏というのがせいぜいです。

ということで、弓を買うのはなるべく遅く、可能な限り借りておいて使おう。というのが私の考え方です。

でも、ここで述べているのは、型の意識がしにくい初心者の方のことを想定しているので、既に型がわかっている人は、自分の意志で取り組んでいただければ結構です。

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弓道の初心者に適切な弓の強さはのまとめ

教室に入った時には何もわかりませんから、無意識に引ける弓を取ってしまいます。

しかも大人の男子となるとなんとなく見栄もあるものですから、8㎏なんて弓は取る気にならないのです。

13㎏の弓だって大人の男子なら、引くことは引けるのでそれでよいと思ってしまいます。

そんなことから間違いの道をたどることになります。どうかここらのことを考慮して練習していただければ、上達への道も早いかなと思います。

強い弓の効用がわかるようになるには、相当に年数が進んで勉強したうえでのことになります。

こういう私も、弓道を始めて10年ぐらいたった時、ちょうど中級者レベルのころでしたが、弓力を一気に3㎏ほど上げたことがありました。

その頃はまだ肘のタメのことについては十分な知識がなかったので、引けるものは引けると考えてあげたのでした。

結果として、どうしても離れの仕方がわからず、どんどん深みに入ってしまい。的中は下がるわ。審査でもさんざんでそれから14年たって、やっと一コマ進むことになりました。

こうなった原因としては、考えもなく、トレーニングとして弓力を上げたことにあると思っています。

どうか、皆さんも私の失敗を繰り返すことなく、型を意識しつつ弓力を上げていただければと思います。

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