【るろうに剣心】斎藤一は実在した!「悪・即・斬」新選組最強の剣客の謎多き生涯と伝説を徹底解説

歴史人物

映画『るろうに剣心』シリーズで、江口洋介さんが演じるクールで圧倒的な存在感を放つ警官、斎藤一(さいとう はじめ)。その鋭い眼光と「悪・即・斬」という揺るぎない信念は、主人公・緋村剣心と並んで、多くのファンを魅了し続けています。

しかし、彼が単なる漫画のキャラクターではなく、幕末から明治という激動の時代を駆け抜けた、実在の人物であったことをご存知でしょうか?

新選組最強の剣士と恐れられ、戊辰戦争、そして西南戦争という日本の大きな内戦を生き抜き、明治時代には警官としてその腕を振るった―。その生涯は、まさに伝説に彩られています。

この記事では、

  • 『るろうに剣心』の斎藤一は、史実とどこが違うのか?
  • 「沖田は猛者の剣、斎藤は無敵の剣」とまで言われた、その実力とは?
  • 謎に包まれた出自から、新選組での活躍、そして意外な晩年まで

といった、斎藤一の知られざる実像に、初心者の方にも分かりやすく、そして深く迫っていきます。漫画や映画で彼に魅了されたあなたも、この記事を読めば、実在の「藤田五郎(斎藤一の明治時代の名前)」という人物の、さらなる魅力の虜になること間違いなしです。

この記事で分かること

  • 『るろうに剣心』の斎藤一と、史実の斎藤一の比較
  • 新選組三番隊組長としての具体的な活躍(池田屋事件、内部粛清など)
  • 「無敵の剣」と称された剣の腕前を物語る数々の伝説・逸話
  • なぜ彼は会津藩と生涯を共にしたのか?その深い絆の謎
  • 警官・藤田五郎としての明治時代、そして意外な晩年の姿
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『るろうに剣心』の斎藤一 vs 史実の斎藤一

まず、多くの人が気になるであろう、フィクションと史実の違いについて見ていきましょう。

項目 『るろうに剣心』の斎藤一 史実の斎藤一(藤田五郎)
信念 「悪・即・斬」 明確な記録はないが、生涯を武士の誇りを持って生きた。
性格 冷徹で無愛想、一匹狼。 無口で物静か。酒好きで、酔うと陽気になる一面もあったとされる。
剣技 牙突(左片手一本突き) 得意技は「左の片手突き」だったという説がある。新選組でも屈指の突きを得意とした。
剣心との関係 幕末からの宿敵。 京都で対峙した可能性はあるが、個人的な因縁を示す記録はない。

『るろうに剣心』の斎藤一は、原作者の和月伸宏先生が「新選組の中でも特に好きで、悪の美学を貫き通すキャラクターにしたかった」と語るように、史実をベースにしつつも、物語の宿敵として非常に魅力的に創作されています。「悪・即・斬」というキャッチーな信念や「牙突」という必殺技はフィクションですが、「無口で凄腕の剣客」「左の突きを得意とした」という根幹の部分は、史実のイメージと重なります。

では、ここからは史実の斎藤一がどのような人生を歩んだのか、その謎多き経歴を追っていきましょう。

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謎に包まれた前半生と新選組への入隊

出自も流派も不明?ミステリアスな剣客

斎藤一は、天保15年(1844年)1月1日、江戸で生まれたとされています。「一」という名前は、元旦生まれであることに由来するとも言われています。しかし、その出自ははっきりせず、父親は播磨国(現在の兵庫県)の明石藩の足軽だったという説や、御家人の子だったという説など、諸説あります。どこで剣術を学んだのか、その流派さえも正確には分かっていません。まさに、謎のベールに包まれた青年でした。

確かな記録として登場するのは、文久3年(1863年)、彼が20歳の時。京都で徳川家茂の警護のために結成された「壬生浪士組(みぶろうしぐみ)」、のちの新選組に、結成当初から参加したのです。

「無敵の剣」- 新選組三番隊組長としての活躍

入隊後、斎藤の剣の腕はすぐに局長・近藤勇や副長・土方歳三に認められます。若くして副長助勤という幹部に抜擢され、屈強な隊士たちを束ねる三番隊組長に就任しました。

  • 池田屋事件(1864年):近藤隊に所属し、尊王攘夷派志士の潜伏先である池田屋に突入。この功績により、幕府から金十両、別段金七両という多額の恩賞を受けています。
  • 内部粛清の実行役:斎藤のもう一つの重要な役割は、内部の裏切り者を粛清することでした。総長・山南敬助の脱走の際の追手や、参謀・伊東甲子太郎が新選組からの分離を企てた際には、間諜(スパイ)として伊東派に潜入。伊東を暗殺する「油小路事件」でも中心的な役割を果たしたとされています。この冷徹な任務遂行能力が、「るろうに剣心」のキャラクター像にも影響を与えているのかもしれません。

その剣の実力は、一番隊組長の沖田総司、二番隊組長の永倉新八と並び称され、永倉は後年、「沖田は猛者の剣、斎藤は無敵の剣」と評したと伝えられています。これは、華やかで攻撃的な沖田の剣に対し、斎藤の剣は無駄がなく、絶対に負けない、まさに鉄壁の剣であったことを示唆しています。

意外な事実?沖田総司より年下だった!

クールで老成したイメージのある斎藤一ですが、実は沖田総司(1842年生まれ説が有力)よりも若く、藤堂平助とは同い年でした。数々の激戦を生き抜いたその姿は、『るろうに剣心』のキャラクター像が最も近い、と感じるファンも多いようです。

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戊辰戦争 – 義に生きた「会津藩士」としての戦い

新選組の終焉と、新たな戦場へ

慶応4年(1868年)、鳥羽・伏見の戦いで幕府軍は新政府軍に大敗。新選組も江戸へ敗走します。近藤勇が甲州勝沼で敗れて斬首され、沖田総司も病死。土方歳三は北へ転戦する中、斎藤は一部の隊士と共に、新選組と縁の深い会津藩(藩主:松平容保)の指揮下に入り、戦いを続ける道を選びます。

この時、斎藤は「山口次郎」と名を変えています。彼がなぜ会津に残ったのか。その理由は定かではありませんが、最後まで武士としての「義」を貫こうとした彼の矜持が感じられます。

会津戦争では、激戦地として知られる白河口の戦いなどで奮戦。しかし、圧倒的な物量の新政府軍の前に会津藩は降伏。斎藤も投降し、謹慎生活を送ることになります。

なぜ彼は「会津人」として生きたのか?

戊辰戦争後、斎藤の人生は会津藩と深く結びついていきます。

    • 斗南藩(現在の青森県下北半島)への移住:会津藩の移封に伴い、斎藤も会津藩士らと共に極寒の地へ移住。そこで会津の名家の娘・篠田やそと結婚します。

– 東京での再婚:明治7年(1874年)、会津藩家老の娘・高木時尾と再婚。この時の仲人を務めたのは、なんと元会津藩主の松平容保でした。

一介の浪士に過ぎなかった斎藤が、なぜ旧藩主自らが仲人を務めるほど、会津藩士として厚遇されたのか。これは、斎藤一の生涯における最大の謎の一つです。会津での彼の忠義と武勇が、藩士たちの心を強く打ち、単なる「客人」ではなく、真の「同志」として認められたことの証と言えるでしょう。

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明治時代 – 警官「藤田五郎」としての第二の人生

西南戦争での武勲

明治7年(1874年)、斎藤は「藤田五郎」と改名し、警視庁に警察官として採用されます。元新選組の剣腕を買われてのことでした。

そして明治10年(1877年)、西郷隆盛が率いる士族反乱「西南戦争」が勃発すると、藤田五郎(斎藤)も抜刀隊の一員として九州へ出征。この時、34歳。激戦の中で大砲2門を奪取するなど、目覚ましい活躍を見せ、その武勇は新聞にも報じられました。政府から勲七等青色桐葉章と賞金100円を授与されています。

「無敵の剣」の伝説は続く

警視庁を退職した後も、彼の剣の腕は全く衰えませんでした。

東京高等師範学校(現在の筑波大学)で撃剣(剣術)の師範を務めた際には、「誰一人として彼の竹刀に触れることさえできなかった」という伝説が残っています。

また、ある老人が若者の練習を見て、いとも簡単に空き缶を竹刀で貫いてみせたという有名な逸話があります。その老人は「突きは突く動作より引く動作が大切だ」と語ったといい、これが晩年の斎藤一だったのではないかと言われています。

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穏やかな晩年と、武士としての最期

警官としての務めを終えた後は、東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大学)で庶務掛兼会計掛として勤務するなど、意外にも穏やかな晩年を送りました。

しかし、武士としての魂は決して失われませんでした。長男には「玄関を出るときは足から出よ。不意に斬られても、倒れながら相手を突ける」と、常に武士の心得を説いていたといいます。

大正4年(1915年)9月28日、胃潰瘍のため72歳で死去。その最期は、床の間で結跏趺坐(座禅の坐法)を組んだまま、息を引き取ったと伝えられています。まさに、最後まで武士の誇りを貫いた、見事な最期でした。

その亡骸は、生涯を共にした妻・時尾と共に、彼が愛した地・会津の阿弥陀寺に眠っています。

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まとめ:時代を駆け抜けた「誠」の武士

映画『るろうに剣心』から知る斎藤一。その実像は、フィクション以上にドラマチックで、謎に満ち、そして人間的な魅力にあふれていました。

  • 新選組時代:「無敵の剣」と恐れられた、最強の三番隊組長。
  • 戊辰戦争:敗軍と知りながら、会津藩と共に「義」を貫いた武士。
  • 明治時代:警官・藤田五郎として国に仕え、伝説を残した剣客。

彼は多くを語らなかったため、その生涯には未だに解明されていない謎が多く残されています。しかし、その生き様からは、どんな状況でも己の信念を曲げない、一本筋の通った「誠」の武士の姿が浮かび上がってきます。

『るろうに剣心』を観て斎藤一に惹かれたなら、ぜひ実在の彼の生涯にも想いを馳せてみてください。そこには、漫画のキャラクターとはまた違う、深く、そして渋い魅力を持った一人の男の、激動の人生が待っています。

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