弓道教室に入門して半年。「そろそろ卒業だけど、この後どうすれば初段になれるの?」と不安に感じていませんか?
1. 弓道教室終了後の「中だるみ」と継続のコツ
多くの地域では、半年程度の弓道教室を経て、地域の弓道連盟(支部)に所属する形となります。しかし、ここが最大の難関です。
1-1. 初心者が直面する「指導者」の壁
教室では「生徒」として手厚く教わりますが、一般練習に混じると、指導者は必ずしもつきっきりではありません。指導者の方々も自身の練習時間を割いてボランティアで教えているため、タイミングによっては「放置されている」と感じてしまうこともあります。
【アドバイス】
「こんなことを聞いたら怒られるかも」と遠慮する必要はありません。しかし、相手の練習の邪魔をしないタイミングを見計らう「間」を覚えるのも弓道の修行の一つです。挨拶を欠かさず、素直な姿勢を見せることで、自然と声がかかるようになります。
1-2. 中年層特有の「教えられる」ストレス
社会的に地位のある方や、これまでに指示を出す立場だった方ほど、「射法八節の基本」を細かく注意されることに窮屈さを感じがちです。弓道は「自分との対話」です。一度プライドを横に置き、真っ白な状態で教えを乞うことが、上達の最短ルートです。
2. 初段審査に向けた「練習内容」の変化
教室では「的に当てる楽しさ(立射)」が中心でしたが、初段審査では全く異なるスキルが求められます。
2-1. 座射(ざしゃ)の習得
正式な審査や演武は「座射」で行われます。膝を活かした立ち座り、跪坐(きざ)の姿勢など、普段使わない筋肉を酷使します。足の痛みで動作が疎かになりがちですが、これができないと審査の土俵に立てません。
※身体的理由で正座が困難な場合は、診断書等の提出により「立射」での受審が認められるケースもありますので、早めに支部長へ相談しましょう。
2-2. 体配(たいはい)と射礼
弓道において、矢を放つこと以上に重視されるのが「体配」です。
- 入退場の歩き方、歩数、曲がり方
- 隣の射手との呼吸の合わせ方(連動動作)
- 執弓の姿勢(弓の持ち方)の美しさ
これらは「多人数で安全に、かつ美しく進行するためのルール」です。野球のルールを知らずに試合に出られないのと同様、体配ができないと審査を受けることはできません。
3. 初段審査の内容と「合格の基準」
初段の合格率は非常に高く、多くの地域で80%〜90%程度と言われています。しかし、油断は禁物です。
3-1. 学科審査:レポート・筆記
現在は事前提出のレポート形式が増えています。主な問題例は以下の通りです。
- 「弓道を志した動機について」
- 「射法八節の名称を順に書き、そのうちの一つを説明せよ」
これらは『弓道教本 第1巻』を読み込み、自分の言葉で丁寧に書けば問題ありません。誤字脱字に注意し、余白を埋めることが合格への近道です。
3-2. 実技(行射)審査
初段審査において、「的中(的に当たること)」は必須条件ではありません。
全日本弓道連盟の基準では「射型・体配型に適って、矢所の乱れぬ程度に達した者」とされています。
つまり、「正しいフォームで、危なげなく、決まった手順で引けているか」が問われます。
重要:失(しつ)の処理
万が一、弦が切れたり、矢を落としたりしても慌てないでください。落ち着いて「失の処理」ができれば、それだけで「落ち着いた所作ができる」と高く評価されることさえあります。
4. 審査当日のチェックリストとマナー
実力があっても、道具の不備で不合格になるのは非常にもったいないことです。
- 矢の点検: 筈(はず)が欠けていないか、羽が傷んでいないか。
- 中仕掛け: 矢こぼれしないよう、適切な太さに調整されているか。
- 身だしなみ: 弓道着にシワはないか、足袋は白く清潔か。
まとめ:初段は「弓道家」への入り口
初段に合格すると、認許状が届きます。これは大人になってから得られる、非常に価値のある「公的資格」です。履歴書にも堂々と書くことができます。
しかし、初段はあくまで入り口。二段、三段と進むにつれ、技術的な課題はより深く、精神的な修行も厳しくなっていきます。だからこそ、弓道は一生続けられる趣味となるのです。
まずは、目の前の「座射」と「体配」を楽しみながら身につけていきましょう。あなたが晴れて初段を認許され、道場で仲間として並び立てる日を楽しみにしています。


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