【剣豪・永倉新八の真実】幕末を駆け抜けた新選組の魂とるろうに剣心の描写

歴史人物
永倉新八(ながくら しんぱち)は、幕末に結成された新選組の中で二番隊組長を務めた剣士であり、数々の戦いの中で生き延び、明治時代に入ってからも剣術に人生を捧げた稀有な存在です。池田屋事件では自らも深い傷を負いながら戦い抜き、後に「新撰組顛末記」などを通じて激動の歴史を語り継ぎました。

また、漫画・アニメ作品『るろうに剣心』でも登場するなど、現代のフィクションにもその名を残しており、歴史と創作の間で新たな注目を集めています。

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誕生から剣術の修行時代へ:武士の家に生まれた少年

1839年(天保10年)、江戸・松前藩邸に生まれた永倉新八は、7歳で神道無念流に入門。早くから剣に親しんだ彼は、後に脱藩して剣術修行の旅に出るという破天荒な人生を歩みます。心形刀流ではその実力を買われ、師範代まで務めました。

この後、近藤勇が開いていた天然理心流・試衛館に出入りし始め、後に新選組の母体となる浪士組に加わることで、彼の運命は大きく動き出します。

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池田屋事件で見せた壮絶な奮闘と剣の才覚

永倉の名を一気に高めたのが、1864年(元治元年)の池田屋事件です。この事件では、近藤勇・沖田総司らと共に敵陣へ突入。沖田が戦闘中に倒れ、藤堂平助も負傷する中、永倉は左手親指を深く切られながらも、戦い続けました。防具が破れ、刀が折れても最後まで戦い抜いたその姿は、“剣に生きる者”として語り継がれています。

後に幕府からも見廻組と同格の待遇を受けるなど、戦功は高く評価されました。

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幕末から戊辰戦争へ:激動の戦乱を駆け抜けた男

池田屋事件の後も、永倉は油小路事件や鳥羽・伏見の戦いなど、数多くの局面で活躍します。鳥羽・伏見では決死隊を募って突撃し、甲州勝沼では甲陽鎮撫隊として新政府軍と対峙。北関東では靖兵隊(靖共隊)を率い抗戦するなど、徹底して戦い抜きました。

しかし、会津藩の降伏を知ると江戸へ戻り、ここで戦いの日々に終止符を打ちます。

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新選組の名誉を背負った明治時代の永倉新八

明治に入ると松前藩への帰参が認められ、藩医・杉村介庵の娘・きねと結婚。松前へ移住し、後に剣術師範として樺戸集治監(北海道の刑務所)に勤務します。ここでの生活は、明治政府の中で剣士としての地位を保ちながらも、時代の変化に適応していく姿勢を感じさせます。

樺戸での剣術指導後、東京牛込で道場を開設。さらに明治32年には家族とともに小樽へ転居し、北海道大学の前身・東北帝国大学農科大学の剣道部指導も行いました。

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晩年の姿:剣士としての誇りを貫いた生涯

55歳の時、日清戦争の開戦を受けて「抜刀隊」に志願するも、「元新選組」の名が政治的に問題視され、不採用となります。「薩摩の連中の面目が立たぬからか」と語ったとされ、皮肉まじりに時代を眺める姿が印象的です。

晩年は映画好きの祖父として孫を連れ映画館へ通ったり、不良を眼光一つで退けるなど、老いてなお“剣の気迫”を保ち続けました。自身の傷を「お国のために働いた証」と誇らしげに語った逸話や、『七ヶ所手負場所顕ス』という負傷記録を自筆で残したことからも、彼の生き様に一本の筋が通っていたことがわかります。

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るろうに剣心での永倉新八:虚構と史実の交差点

人気漫画『るろうに剣心』の北海道編では、永倉新八が緋村剣心・斎藤一と共演し、共に明治政府の暗部と戦うという設定が登場します。史実では斎藤一が北海道に行った記録はほとんどなく、完全な創作ではあるものの、過去の剣士たちが協力し合う“ifの世界”としてファンから支持されています。

作中では記憶違いを堂々と語る“豪快なおじさん”として描かれており、そこに史実の永倉が持っていたおおらかさも反映されているようです。

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新選組への想いと顕彰活動

晩年、永倉は新選組の名誉回復にも尽力。近藤勇・土方歳三の墓を東京都北区滝野川の寿徳寺に建立し、自らの墓もその隣に置くことで、新選組の歴史を未来に繋げようとしました。

彼が遺した『新撰組顛末記』は、多少の記憶違いがあるとはいえ、当時を知る第一級の史料として現在も高く評価されています。

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まとめ:永倉新八に学ぶ“生き様”という刀

永倉新八の人生は、まさに「剣に始まり、剣に終わる」ものでした。幕末という混沌の時代に生き抜き、新政府下でも誇りを失わず、自らの信念と武士道精神を体現し続けました。

彼の生き方には、現代人が見失いがちな「信念を持って貫く強さ」が宿っています。永倉の生涯を知ることは、ただの歴史の学びにとどまらず、困難な時代を生き抜くためのヒントにもなるのではないでしょうか。

 

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