弓道の矢の羽の直し方、矢の手入れはご自分で!

弓道の道具、衣装

弓道の矢のお手入れの方法を説明します。長く、綺麗に使うためには、普段のお手入れが大切です。矢はいたみやすいものですので、こまめに的確な手入れをする方法について、ご紹介します。

初心者でもできる方法で、若干のトラブルについても説明します。

最初のころは、ちょっとした傷、羽のイタミにも心を痛めていたのが、いつの間にか平気になったしまって、悲しいことだと思います。

あなたの服が傷ついたりしたら何とか繕うことでしょう。やり方がわからないといってないで、最大限いたわってあげましょう。

先輩に聞く方法もあるでしょうが、聞きにくいとか人によって言うことが違うなど迷われる方も多いでしょう。

そのため、初心者が自宅でもできる方法をご紹介します。この内容は初心者が扱うジュラ矢またはカーボン矢を前提としています。

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弓道の矢の羽の直し方、矢の手入れ:普段のお手入れ

矢は屋外に飛ばすものですし、安土に刺さるものです。一回練習すれば汚れますので、開始前または終了後には、タオルのような布、雑巾でも結構です、拭く習慣をつけてください。

決してごしごし磨く必要はありません。

私の体験から

私も掃除が嫌いなのですが、きれいに拭いておかないと、弽の捻り皮のところが汚れてしまいますので気を付けましょう。これが毎日のお手入れになります。

また、矢の外掛羽(羽のうち外側を向いている羽根です。「とがけは」といいます。)弓摺羽(羽のうち内側こちら側を向いている羽根です。「ゆずりは」といいます。)がいたみます。

これらの羽の一番後ろ側を取懸けるときに巻き込んだり、弓摺羽の前側が弓に当たったりして、羽がねじれたり、羽の間に隙間ができたりしてきます。

ほっておくと、羽の間に隙間が戻らなくなって、使用感が出てきて、だんだん見苦しくなります。

そんな時、先輩から教えていただきました。その際は、やかんにお湯を沸かしてその蒸気を羽に当てると、面白いように自然に元に修復します。

まるで、命があるように奇麗にそろうので感動ものです。羽が自然物であるおかげです。

これは1、2か月に一回で良いでしょう。あまり長い時間蒸気にさらしたりすると、羽をシャフトに留めている接着剤がはがれるのでご注意ください。

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弓道の矢の羽の直し方、矢の手入れ:6か月から1年の間のお手入れ

初心者の方が1、2か月練習していると、矢の弓摺羽がだんだん傷んできます。

このまま1年ぐらい続けると弓摺羽の羽山がどんどん減ってきて、明らかに高さが変わってきます。

初心者の方は弓の矢摺籐に弓摺羽を押し付けるような引き方、離し方をするので仕方がありませんが。

弓摺羽が減ってきたときの基本的なお手入れ

ここまでやる人は非常に少ないのですが、楽しい作業ですのでやってみてください。明らかに弓摺羽が削れてきたなと思ったら、羽の位置を変えましょう。

矢筈を蒸気で温めて、ペンチで挟んでグイっと引き抜いて、120度角度を変えて再度はめ込むか、慣れればそのまま角度を120度変えます。

これはコツみたいなものですから、慣れるしかありません。最初は、引き抜くしかないかもしれません。

なるべく走り羽はきれいな状態で使いたいので、傷んだ弓摺羽を外掛羽にして、外掛羽を走り羽にするように、矢の後ろから見て反時計方向に120度まわします。

また何か月か経ったら同じ作業をします。

弓摺羽が減るのを軽減する高度なお手入れ

羽が擦れた矢をよく見てください。甲矢の方が乙矢よりも傷み方が大きくありませんか。

これは、矢を後ろから見て、甲矢は時計回りの回転、乙矢は反時計回りの回転をすることから起こることです。

甲矢の弓摺羽は弓に対して最初は30度の角度開いているのですが、時計回りの回転をするため、直角に近い方向に回って、羽が当たりやすくなります。

乙矢では反対方向ですので、弓摺羽が逃げていく方向になり、傷み方が少ないのです。

これを見越して、甲矢については矢筈の溝よりも、走り羽を反時計方向に10度~20度ぐらいずらしてつけると傷み方が少なくなります。これを二枚頬ずりと言っています。

シャフトの生地が見えるようになったら

長い間使っていると矢の先の方がジュラ矢ですと色が剥げて、生地の銀色が見えてきます。カーボン矢ですとバンブーの色が剥げてカーボンの地肌の黒色が見えてくるようになります。

本来は、これを防止するため、半年に一回ぐらいアクリル系のクリアーラッカーを先端から10㎝ぐらいの範囲で塗っておけば大丈夫です。

でも、剥げてしまった場合は、水性アクリル系の茶色を使って着色します。ついでによく見ていくと、部分的に剥げたところがあるのでそこも着色しておきます。

次に、クリアーラッカー又は水性アクリルとりょのクリアで保護しておきます。

乾燥させるときは、ハンカチとか小物の洗濯物干しのクリップがついているものを使い。クリップで矢の筈を挟んで吊り下げておきます。私は、年末に一回この作業を行っています。

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弓道の矢の羽の直し方、矢の手入れ:矢のトラブルにあったとき

練習していると、様々なトラブルに遭遇します。そのときの対処方法を説明します。

羽がシャフトから浮いてしまったとき

湿気の多い梅雨の季節など羽の一部の接着剤がはがれて浮いてしまうことがあります。先のとがった楊枝の先にボンドをつけて、浮いた部分にボンドを入れ込みます。できれば多めの方が良いかと思います。

そしてくっつければいいのですが、そのままでは浮いたままですので、細い絹糸又は中仕掛けに使う麻を割いて細い糸を作って、浮いたところを中心に抑えます。

「羽がついているじゃないか。」とお思いでしょうが、羽は全体が繋がっているものではなく、細かい毛が独立して茎についているので、糸でかき分けるようにすると、茎のところまでたどり着きます。

こうして、固定して2、3日おけばしっかりつきます。

安土の羽が矢に当たって欠けたとき

道場によっては射込みで稽古しているところもあるでしょう。また、自分の矢でもたまに乙矢が当たってしまうことがあります。

矢取の時に安土まで行って、飛び散った羽を拾い集めましょう。羽は1㎝ぐらいごとに落ちているでしょう。

これらを集めて、根元にボンドをつけて、茎のところに接着するだけです。こんなことで、とりあえずの修理にはなります。

筈が取れたとき又は筈をいためたとき

筈をいためたときは、羽の位置を変えたときのように、まず、筈を外します。

筈は弓具屋さんで買ってきます、弓具屋さんで直してもらうこともできますが、このぐらいは自力でやりましょう。これも弓道の基礎の一つと考えています。

そのあと、筈の差し込む部分に中仕掛けの細い糸を少しかませて、ごく少量のボンドを一部分だけ付けます。筈を差し込む位置を固定するため、軽く押し込みます。

これで、中まで入ってしまうようでは、筈が小さいので、中仕掛けのかませる糸を少し増やします。

このあと、筈の方を下にして、矢の根の方をもって、硬い床面に自然落下させます。

1回目は跳ね返りがほとんどありませんが、2回目又は3回目には跳ね返るようになります。これは筈が中まで入った証拠ですから、これで終わりです。

くれぐれも、矢をたたきつける必要はありませんので、ご注意を。

矢の根が取れたとき又は矢の根がすり減ったとき

カーボン矢の場合は比較的簡単です。原則、矢の根の部分を火であぶって、ペンチで抜きます。

ジュラ矢の場合とても固いので、コンロで矢の根を十分あぶってシャフトとの熱膨張の差を利用して抜くのですが、意外と難しいものです。

若しくは協力者がいるときには、矢の根をペンチで挟んでこのペンチを金槌でたたいて抜く方法があります。言葉で説明するのは難しいのですが、こんな方法もあります。

シャフトが曲がったとき

素人では無理です。弓具屋へ持っていきましょう。

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弓道の矢の羽の直し方、矢の手入れはご自分で!のまとめ

以上基本的なお手入れ方法について述べてきました。

何でもかんでも弓具屋さんにお任せすることもできますが、弓具の取り扱い、簡単な修理も弓道を進めていく上での、立派な基礎です。

自分で修理ができれば、道具についての愛着もわいてきます。これで大事に使えば、3年程度又は三段になるまでは使えるでしょう。

今回はジュラ矢とカーボン矢しか触れませんでしたが、竹矢について乾燥で割れた場合の修理の方法は次のところに触れてありますので、ご覧ください。

弓道の練習での冬の防寒対策は?こんな方法あんな方法 | 天水仙の蛙奏美(a-so-bi) (tensuisen.com)

また、羽が相当傷んで、取り換えたいときは、こちらをご覧ください。

弓道の矢の傷んだ羽は自分で交換してみよう! 矢に愛着を  | 天水仙の蛙奏美(a-so-bi) (tensuisen.com)

初めて購入した自分の矢、ここまで自分を育ててくれた矢です。精一杯使いきってください。

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